「ハッ、なかったら作ればいいのでは!」

メモリ不足のなか、ロシアではDDR5 RAMモジュールの自作を計画するギークが現る

Munenori Taniguchi

Image:Shea McMullan/Shutterstock.com

現在、AI業界の旺盛な需要のせいで、世界中の市場からメモリチップが姿を消しつつある。一般消費者の間でもメモリの価格が暴騰し、入手困難になる状況だが、ロシアのとあるギークは、PC用のDDR5 RAMモジュールを自作してこの問題を回避しようとしている。

TelegramのユーザーでYouTubeチャンネルで動画投稿も行っているPRO Hi-Techは、ロシアの「Vik-on」と名乗るギークが以前、GPUカードに搭載されるVRAMにチップを追加して容量アップグレードを実現していたのにヒントを得て、PC用のRAMモジュールをDIYすることを思いついたという。

DIYと言っても、基板を一から設計するような手間は必要ない。なぜなら中国のメーカーのなかには、メモリチップがないDDR5 RAMの基板を販売しているところがあるからだ。PRO Hi-Techは、この基板があれば、あとは「メモリチップを購入してはんだ付けするだけ」だと述べている

Image : PRO Hi-Tech(Telegram)

ちなみに、空のデスクトップPC用RAM基板の価格は6.4ドル(約1000円)程度とのことだが、問題はメモリチップの方だろう。現在、RAMを増産する能力をもつメモリメーカーは存在せず、仮に増産できたとしても高額で買い取るAI業界にすべて吸い上げられてしまうのがオチだ。

しかしそんな中でも、Tom’s Hardwareによればチップの正しい型番でAliExpressなどをはじめ幅広く中国のマーケットプレイスを検索すれば、いくつかのメーカーのチップが販売されているのを見つけられるとのことだ。

このようにして必要なすべての部品を集めることができれば、あとは、はんだごてを手にチップを基板に取り付けるだけで、PC用のRAMモジュールをDIYできるという。

ただ、PRO Hi-Techはこの方法で作ったRAMは市場の小売価格よりは安価になるものの、大して安くもならないと述べている(もし、故障したDDR5 DIMMを大量に入手でき、そこから正常なメモリチップを回収して再利用すれば多少は安価になるかもしれないが)。具体的には「平均的な仕様」の16GBモジュールで1万2000ルーブル(約2万4000円)前後になるという。

この価格は、記事執筆時点で日本の価格.comで見つかる16GB DDR5 DIMMモジュール1枚の最安価格に近いため、日本でRAMのDIYをしようと目論んでも、やっぱりそれほどおいしい話にはならないだろう。

とはいえ、RAM市場は今後さらに価格が高騰し、入手困難な状況が長期化すると予想されているため、いまのうちに可能な限りの基板とメモリチップを入手しておけば、あとで少しはうまみが出てくる可能性もあるかもしれない。

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