マスタースレーブですので…ええ
【動画】テスラのヒト型ロボットOptimusが突如テーブルをひっくり返し卒倒

テスラのイーロン・マスクCEOは2024年第2四半期決算の発表において、当時未発表だったヒューマノイド(ヒト型ロボット)を、200億台販売すると主張していた。
しかし、2025年の暮れにあって、このロボットがいかにポンコツであるかを証明する出来事が、先週末にマイアミで開催されたテスラの「Autonomy Visualized」イベントで起こった。
何が起こったのかは、Redditに投稿された動画をみれば一目瞭然だ。
このヒューマノイドはしばらく静止していた。だが、不意に右手をテーブルの上に下ろそうとすると同時に、下ろしていた左手を挙げようとしてテーブルにぶつけてしまい、テーブル上にあったペットボトルのドリンクをひっくり返してしまった。
さらに、Optimusは両手を顔の前に構えるように掲げ、そして顔を上に向けたかと思えば、直立姿勢のまま卒倒するように後方へ倒れ込んだ。
Optimusが自律動作していると信じるような素直な人は、まるでこのヒューマノイドがボトルを倒してしまったことに動揺して倒れてしまったように見えたかもしれない。ただ、このロボットがマスタースレーブ式に遠隔操作されているのは、いまや誰もが理解していることだ。
とすれば、この映像からわかるのは、遠隔操作していたオペレーターが、Optimusの操縦モードをオフにし忘れた状態で、装着していたVRゴーグルを脱いだのだろう。そう考えてもう一度動画を見れば納得がいくはずだ。
VRヘッドセット式の仮想ロボット格闘ゲームを開発しているCix LivのCEOは、Xに「Optimusが遠隔操作技術を使っていることに疑いの余地はない」と述べつつ「とにかく笑える」と動画に対する率直な感想を投稿した。
ヒューマノイドは今年、AIと並んで大きな進歩を遂げたように見えた。しかし振り返ってみれば、その自律動作の実現に関しては、まだまだ道半ばというのが現実だ。
たとえば、カリフォルニアに拠点を置くAI・ロボティクス企業の1Xは、家庭用のお手伝い用ヒューマノイド「NEO」の予約受付を2万ドルという料金で開始した。しかし、Wall Street Journalとのインタビューで、同社のCEOベルント・ボーニッチ氏は、ロボットが家庭の様子を把握するため、早期予約者はロボットを遠隔操作するオペレーターが自宅内を詳細に把握するのを許可させなければならないことを認めた
つまり、来年届けられる予定のNEOを受け取る早期予約者は皆、人間のオペレーターがロボットのカメラを通して家の中を見ることに同意しなければならないのだ。もちろん、購入者はロボットが稼働できる時間や行動範囲を制限することができるというが、ロボットの目を通して姿も見えないだれかに家の中を見られてまで、それを欲しいと思う人がいるのだろうか。1Xはこの件が報じられたことで相当な批判を浴びた。
イーロン・マスク氏も、テスラの将来はAIとOptimusの成功にかかっていると述べ、このヒューマノイドが10兆ドルの収益を生み出して将来の世の中を変えるかのように人々に述べた。だが、少なくとも2025年の現実はこれだ。
SF映画『トロン:アレス』のプレミアに登場したイーロン・マスク氏は、Optimusは「誰も」操縦せずとも「カンフーをこなしている」と豪語していた。
億万長者が語る未来のビジョンは人々、特にファン化した人々の心を掴み、SNSなどを駆使して宣伝される。だが、ヒューマノイドにせよ、AGIの議論にせよ、冷静に見つめてみればいまだ現実的な成果らしい成果は見えているようで見えていない。
