x86系よりバッテリーが長持ちしやすい

Valve、Steam Deck 2にArmプロセッサ採用の可能性を示唆

多根清史

Image:Serenko Natalia/Shutterstock.com

Valveは携帯ゲーミングPCの次世代機「Steam Deck 2」をArmアーキテクチャに移行する可能性を示唆している。

SteamOSアーキテクトのPierre-Loup Griffais氏はThe Vergeのインタビューで、Proton互換レイヤーとFexエミュレーションを組み合わせ、Windowsのx86ゲームをArmデバイスで動作させる基盤を構築中だと語っている。いずれの技術もValveが2016年から資金提供してきたという。

Proton互換レイヤーは、Windows専用APIをLinux向けにリアルタイムで変換する “翻訳ツール” である。一方、Fexエミュレーション(FEX-Emu)はx86命令をArmプロセッサで実行させるオープンソースツールで、プログラムを一度だけArm向けコードに変換し、その後は高速に実行できる仕組みだ。

Fexがx86→Arm変換を行い、その後ProtonがWindows→Linux変換を担当することで、Windows x86向けに作られたSteamライブラリの多くを、ネイティブに近い速度でプレイできるとされている。

さらに重要なことは、これによりArmスマートフォン、タブレット、ノートPCなどでSteamライブラリがプレイできる可能性が示唆されている点である。実際、先日発表されたVRヘッドセット「Steam Frame」は、ArmプロセッサのSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、SteamOS 3上で非VRのSteamゲームが動くと謳っている。

Armチップの強みは、優れた電力効率と高いピーク性能である。たとえばx86系のAMDプロセッサを搭載した携帯機はパフォーマンスモードで約3時間プレイ可能と言われるが、ArmプロセッサにProtonとFexを併用することで、さらにバッテリー持続時間を伸ばせる可能性がある。

Armを用いた携帯ゲームの将来について尋ねられると、Griffais氏は「低パフォーマンス向き」としつつも、「Steam Deck並みの性能帯でも選択肢になり得る」と述べている。Steam Deck 2への具体的な言及は避けられたが、将来の方向性を示した発言といえるだろう。

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