「ここ1年以上は黒字キープ」でも値上げ?

Spotify、来年に米国でまた値上げのうわさ。本当なら2022年以降3度目

Munenori Taniguchi

Image:Spotify

Spotifyは、2026年第1四半期に米国でのサービス料金を値上げする予定だと報じられた。Spotifyは当初は月額9.99ドルで提供されていたが2023年にこれを10.99ドル、2024年には11.99ドルへと値上げしている。

このニュースはFinancial Timesが最初に報じたものだが、Spotifyによる正式発表ではなく、また値上げ幅がどれほどになるのかも不明だ。ただ、JPモルガンはFinancial Timesの報道を受け、Spotifyが過去の事例同様に月額1ドルを値上げすれば、年間約5億ドルの増収になるとの試算を発表した。

値上げの理由(または口実)としては、昨今のインフレ下にあって、大手音楽レーベルがNetflixなどの動画ストリーミングサービスに比べて音楽ストリーミングは料金が低いと主張し、Spotifyなどに対し月額料金の値上げを促していると、TechCrunchは述べている。ただ、Spotifyは2008年以降で600億ドル、2024年だけでも100億ドルを音楽業界に支払っている。しかし、(インフレの影響もあり)音楽レーベルはそれでもまだ分け前が足りないとSpotifyやその他の音楽ストリーミング各社に迫っている模様だ。

Spotifyの共同創業者兼CEOのダニエル・エク氏は9月に、2025年いっぱいでCEOを退任し、取締役会長に就任することを発表した。後任CEOには共同社長兼最高製品・技術責任者のグスタフ・ソーデルストロム氏と、共同社長兼最高事業責任者のアレックス・ノルストローム氏が就く予定となっている。

エク氏は退任発表の際に「この数年間、Spotifyの日常的な経営と戦略的な方向性の大部分をアレックスとグスタフに委譲してきていた」と述べ、この人事はあくまで「実質的な事業運営形態に役職名を合わせただけ」のことであり、運営方法や経営方針が既存の路線から変わるわけではないと主張した。また、Spotifyは少なくともここ1年間は黒字経営を維持していると述べている。

ちなみに、日本でのSpotifyの価格は今年個人向けのPremium Standardプランが980円から1080円に値上げされている。為替相場の変化により実質的な価格差が広がったこともあり、米国などに比べると安価だが、日本国内のSpotifyは欧米で提供しているオーディオブックの配信がないなどの違いがある。

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