人気Windowsゲームの9割以上は動くとのこと

Snapdragon X2 Elite Extreme、100W超で動作可能。「M5 Max」と競合か

多根清史

Image:Qualcomm

米クアルコムは、新型SoC「Snapdragon X2 Elite Extreme」および「Snapdragon X2 Elite」に関する追加情報を公開した。フラグシップであるX2 Elite Extremeは、「アンコストレインド(unconstrained)」モードでは100W以上の電力を使用できるとしている。

この情報はクアルコムが直接提供したもので、同社は両チップのTDP(熱設計電力)を定義していない。これは、製品ごとに電力制限を設定するOEMパートナー側の仕様に依存しており、TDPが固定ではないためだ。

PCメーカーは、寸法や重量、コスト目標、表面温度、排気温度、ノイズレベルなど複数の要素を考慮する必要がある。これらすべてが「プラットフォームの持続的SoC電力放散能力(Platform Sustained SoC Power Dissipation Capability)」に影響を与える。新型チップで高いクロック速度を長時間維持する場合、より大型で高性能な冷却機構が必要となり、そのぶん重量・騒音・コストも増すため、最適なバランスを見極めることが重要である。

アンコストレインド状態でのCinebenchテストでは、Snapdragon X2 Elite Extremeは約40Wの電力で、同クラスのAMD Ryzen AI 9 HX 370やIntel Core Ultra 9シリーズを上回る性能を示したとされる。実際の電力消費の例としては、メモリーテストで約108W、Handbrakeで84.78W、Cinebench 2024マルチコアで約70Wという数値が示されている。

Image:Qualcomm

今回の新情報の意味は、Snapdragon X Eliteシリーズの用途が拡大する可能性が明確になった点にある。従来は主に薄型ノートPC向けとして知られていたが、100W超の持続消費電力で動作できることで、今後はWindowsデスクトップPCや高性能ノートPC市場にも参入し、アップルのMシリーズチップと本格的に競合し得ることが示唆された。

さらにクアルコムは、Snapdragon X2 Eliteシリーズ搭載のWindows PCは「90%以上の人気Windowsゲームを動かせる」と発表している。『Cyberpunk 2077』や『フォートナイト』など、25タイトル以上のゲームで動作検証済みだという。また、カーネルレベルのアンチチート対応も強化され、従来の弱点だったオンライン対戦ゲームの互換性問題が解消されつつある。

Snapdragon X2 EliteおよびSnapdragon X2 Elite Extremeプロセッサは2026年に発売される予定であり、同時期に登場するアップルのM5 Maxプロセッサと競合するとともに、ゲーミングPC市場でも存在感を高めることになりそうだ。

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