テンセントにとっても不正利用やトラブル低減のメリット
アップル、ついにWeChatミニアプリから収益化へ。中国テンセントと15%手数料で合意か

アップルは中国テンセント・ホールディングスと、WeChatのミニゲームやミニアプリ内の購入に対してアップルが支払い処理を担当し、15%の手数料を徴収できる契約を結んだとBloombergが報じている。この取引は一年以上にわたる交渉の末に成立したものであり、アップルにとって中国市場における重要な新たな収益源となる見込みである。
中国では多くのiPhoneユーザーが、App Storeから個別アプリをダウンロードするのではなく、WeChat上のプラットフォームを通じてサービスやエンターテインメントを利用している。その中核を担うのがWeChat内に組み込まれたミニアプリ群である。しかし従来、アップルはこれらミニアプリ内で発生した購入から手数料を得ていなかった。
この交渉は2024年8月から報じられており、当時テンセントは「人気ミニゲームの収益分配についてアップルと協議中」であることを認めていた。さらに「経済的に持続可能」で「公平」な条件を求めるとも述べている。
今回の15%という料率は、アップルが通常App Storeで設定している30%と比べると低い。しかしアップルにとっては、これまで収益を得られていなかったWeChatから初めて利益を上げられる点で大きな転換である。一方テンセント側にとっても、外部支払システムへの誘導といった抜け穴を塞ぎ、不正利用やトラブルのリスクを低減できるため、双方にメリットがあるといえる。
WeChatは数億人もの中国人ユーザーの日常生活を支えるインフラであり、ミニゲームだけでも2025年には約450億ドル(約5兆3000億円)規模の収益を生むと見られている。15%の手数料は、アップルにとって相当な額に達するだろう。
一時はアップルの中国市場での売上不振が報じられていたが、足元ではiPhone 17シリーズ(iPhone Airを含む)の販売が好調とされ、とくに標準モデルは前年同期比ほぼ倍増との調査もある。今回の取引は、アップルの今後のグローバル戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
