近年は主力作の販売不振が続いていました
Ubisoft、上半期決算発表を土壇場で延期、株取引も停止。謎ムーブの背景に重大発表のうわさ

ゲーム大手のUbisoftは今週、投資家を対象とした2025年度上半期の決算報告を行う予定だったが、直前になって突然、これを延期すると発表した。また同日には自社株の取引も停止すると発表し、上場先である欧州証券取引所Euronextに対し11月14日から上半期決算を発表するまで「近日中」まで、取引の停止を要請した。
Ubisoftといえば、『Assassin’s Creed』『Far Cry』『Rainbow Six』といった人気タイトルをいくつも抱え、業界で知らない者はいないと言っても過言ではない大手ゲームパブリッシャーだ。
しかし近年は、AAA作品の販売不振が相次いでおり、株価の下落が続くなか、傘下のゲーム開発スタジオを続々と閉鎖してきている。今年の春には、上記の主力3タイトルを含む一部IPを、中国Tencentの出資(25%)とともに設立した子会社に移管し、今後の開発はそちらで行うことも発表していた。さらに、今年3月の2024~2025年度決算発表では日本を舞台とした『Assassin’s Creed Shadows』が非常に好調だと宣伝していたにもかかわらず前年比1億5900万ユーロの損失を発表していた。
この新スタジオに関しては、Ubisoft創業家から共同CEOの1人が加わっており、経営に関する主導権はUbisoft側にあると発表では主張されているが、うわさではTencentの影響が強くなるともささやかれている。
今回の突然の半期決算報告延期と株取引の停止も、企業として明らかに正常ではない動きであり、業界に詳しい証券アナリストのダニエル・アーマド氏は「何らかの買収」あるいは「会計や財務上の問題を示唆している可能性」を指摘している。
Ubisoftがこのような決定を下した背景には、より広範な市場環境も影響しているのではとの見方もあるかもしれないが、ゲーム業界関連株は緩やかな下落傾向とはいえ、手がかりとなるような動きはみられない。
となれば、今回のUbisoftの謎ムーブは、上半期決算をそのまま発表すると大きな株価変動などの混乱をもたらす可能性があると考えるのが普通だろう。カナダのゲームジャーナリストで業界最大級の表彰式典であるThe Game AwardsのMCとして知られるジェフ・キーリー氏なども、Ubisoftの言う「近日中」に、おそらく同社の今後の行方に関わる大きな発表があるのではないかとの見解をSNSに投稿した。
ちなみに、やはり大手ゲームパブリッシャーのElectronic Artsは、9月末にサウジ資本によって買収されている。この買収はEAのこれまでの運営方針を大きく変えるものではなく、混乱もあまりなかったが、もしUbisoftの発表が同様の買収案件だとすれば、同社の今後の運営にどのような影響があるのかは気になるところだ。
- Source: Ubisoft(PDF)
- via: Eurogamer
