M4 MacBook Airには冷却ファンがないことも考慮すべき

アップルM5、対M4比で『サイバーパンク2077』約3倍のフレームレートを叩き出す

多根清史

Image:The Tech Chap

アップル独自開発の最新チップ「M5」は、CPU・GPUともに前世代のM4チップより大幅に強化されていると謳われている。

実際、CPU性能は数年前のハイエンドチップM1 Ultraと比較して、シングルコアスコアが大幅に上回り、マルチコア性能はほぼ同等というベンチマーク結果が出ている。とくに驚異的なのは、CPUコア数が半分のM5がM1 Ultraのマルチコア性能に追いついた点である。

また、グラフィック処理が重いことで知られるゲーム『サイバーパンク2077』においても、前世代のM4チップより大幅に動作が改善していることが明らかとなった。

YouTubeチャンネル「The Tech Chap」は、M5搭載の新型14インチMacBook ProとM4搭載の現行MacBook Airについて、ゲームを含む各種ベンチマークを実施し、性能を比較している。

ベンチマークアプリの結果では、M5のGPU性能はM4より約1.6倍、AI性能は3.5倍に向上した。CPU性能もシングルコア・マルチコアともに約14%アップしており、これらの数値はほぼアップルの公称値と一致している。通常、アップルは1世代前のチップとの比較を避ける傾向があるが(多くは数年前のM1チップ比)、今回はよほど自信があったのだろう。

グラフィック性能の強化は目覚ましい。3DMark Wildlife Extremeでは45%高速化し、レイトレーシング対応のSolar Bay Extremeでは65%の高速化を達成した。一世代での進化としては驚くべき飛躍である。

今回の検証で本命となる『サイバーパンク2077』を両デバイスで動作させると、より顕著な差が確認された。レイトレーシングを有効にした場合、M5は58FPS(画面フレームレート)に対し、M4は20FPSと、実に2.9倍の速さである。レイトレーシングをオフにしても、M5は75FPS、M4は48FPSで、56.25%も高速かつ滑らかに動作している。

もっとも、この結果を鵜呑みにすることはできない。M4搭載のMacBook Airには冷却ファンがなく、グラフィック処理が重いゲームではサーマルスロットリング(過熱によるチップ破損を防ぐための低速化の仕組み)が起きやすいからだ。レイトレーシングをオフにした状態でパフォーマンスの差が縮んでいるのは、処理の負荷が下がったことも要因の一つと推測される。

Steam等でのMac対応タイトルの少なさから、MacをゲーミングPCとして購入するユーザーが多いとは考えがたい。とはいえ、「主に仕事や勉強用とし、ときどきAAAタイトルを遊ぶ」程度に割り切っている人にとって、M5 MacBook Proはコストパフォーマンスの高い選択肢となりそうだ。

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