利用時間の半分はショート動画機能に

15周年のInstagram、成長の鍵は「AI」。日本法人代表が語る、これまでの変遷と今後の戦略

編集部:平山洸太

15周年を記念し、Meta 日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤将宏氏によるプレゼンが行われた

写真共有SNSとして知られる「Instagram」が10月6日で誕生から15周年を迎えた。これを記念し、サービスを運営するMetaの日本オフィスにおいて、報道陣向けのラウンドテーブルが開催された。

世界のインターネット人口が55億といわれている中、月間30億のアクティブアカウント(2025年9月末のデータ)を実現しているというInstagram。日本では3300万を達成した2019年以降から数字は非公表となっているが、今日では2倍以上の成長を遂げている。

日本におけるユーザーの推移(2025年の数字は非公表だが、図のスケールは正しいとのこと)

Instagramは2010年10月6日にiPhone用アプリとして誕生。ローンチから24時間後にはApp Storeのランキングで1位を達成するという、好調な駆け出しとなった。そして2012年4月にはFacebook(現Meta)の傘下となり、今日まで同社が運営を行っている。

誕生から2016までの年表

プレゼンを行った味澤将宏氏(Meta 日本法人 Facebook Japan 代表取締役)は、Instagramが人気を獲得した理由を、そこまで当時はiPhoneの「カメラの性能が良くない」という状況で、「Instagramはセンスの良いフィルタ」を搭載することで、「画素数があまり高くなくてもきれいな写真が作れる」ことができたと説明する。

また、現在よりもモバイル通信の回線速度が高速ではなかった当時において、Instagramは「時間がかからずスムーズにアップロード」できたとのこと。そのうえで、「FacebookやTwitter(当時)のような他のサービスにシームレスに共有できる」ことも評価されていた理由だと味澤氏は語った。

味澤氏によるとInstagramは、利用者のフィードバックをオープンに聞き、製品に反映していく文化があるという。そのなかで2013年には動画の投稿に対応し、ダイレクトメッセージ機能も同年に追加。2016年には、投稿から24時間で消えるストーリーズ機能が加わっている。

その後もECサイトに誘導できるショッピング機能、ぐるなびと提携したレストラン予約機能、インフルエンサーなどのコンテンツを広告として配信できるブランドコンテンツ広告などをローンチ。2020年には短尺動画機能のリールも追加された。このリール機能は現在利用時間のうち50%以上を占め、20%の年率で視聴時間が伸びているとのこと。

利用時間の長いリール機能によりアクセスしやすくするため、スマートフォン用アプリのタブの順番を変更するテストを検討中だ

コロナ禍ではクリエイターの支援を本格的に開始しており、Instagram上でクリエイターが直接収益化できる “投げ銭” の仕組みをライブ配信に導入。クリエイターがファンと交流するための一斉配信チャンネルも2023年に導入されている。

こういった新機能と並行してInstagramが力を入れてきたというのが、安心安全のための取り組みだ。2016年にいじめ問題への対策として導入したコメントのフィルタ機能を皮切りに、18歳未満と大人のやりとり禁止、ペアレンタルコントロールなどを追加。直近ではティーンアカウントを導入し、13歳〜18歳未満の子どもに対して様々な保護機能を自動的に適用するようにしている。

味澤氏は日本は「Instagramにとって非常に重要なマーケット」としており、日本で最初に導入された機能もあると説明。たとえば、アカウントをQRコードでやり取りできる機能、飲食店などの地図検索機能は、日本発でグローバルに広がったそうだ。

Instagramは今後の戦略として、「中心になるのがAI。AIに大きな投資を続けている」と味澤氏は話す。利用者の興味関心に合わせてコンテンツをAIでレコメンデーションすることで、すでに利用時間が昨対比6%伸びているとのこと。広告にもAIを組み込むことで、1ドルあたり平均3.71ドルという、3倍を超える広告費用対効果(ROAS)を実現している。

おすすめの精度向上がユーザーの利用時間増加に貢献したという

Meta AIのチャットボットを検索画面に組み込むことを一部の英語圏でテストしているほか、AIを活用しておすすめするコンテンツをユーザーが管理しやすくなる機能も検討中。さらにクリエイティブツールでは、動画・画像の編集機能のRestyleに、AIを用いた編集機能や音声翻訳機能の導入を開始しているそうだ。

このようにAIを統合していくことで「ユーザー体験を向上させる取り組みを続けている」と味澤氏。「今後もAIを含めた最新のテクノロジーを活用してユーザーに価値のある体験を提供していきたい」と述べ、プレゼンを締めくくった。

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