ドーム型ディスプレイ、側面充電、バッテリー40時間の実力

「Pixel Watch 4」はPixel Watch 3から何が変わった? 実機で比較

山本竜也

Googleは10月9日、第4世代となるスマートウォッチ「Pixel Watch 4」を発売した。前モデル同様、41mmと45mmの2モデル展開で、4G LTEにも対応。au/ドコモ/SoftBankから発売されている。MNOの中では、楽天モバイルのみ取り扱いがない。

順調に世代を重ねているPixel Watchだが、デザインそのものは初代モデルからほぼ変更がない。Pixel Watch 3では新たに45mmモデルが追加されたのがトピックとなっていたが、Pixel Watch 4はそうした大きな変更はなく、ぱっと見ではPixel Watch 3との見分けはほぼ付かない。ただ、細かな部分を見ていくと、幾つかの明確な違いがあることも確かだ。

そんなPixel Watch 4、発売前に試用する機会を得たので、Pixel Watch 3と比較して何が変わったのかを中心に紹介しよう。

カラーバリエーションと本体サイズ

Pixel Watch 4は、Pixel Watch 3と同じく41mmと45mmの2モデル展開。カラーバリエーションは若干変わり、41mmがPolished Silver アルミケース / Iris アクティブ バンド、Polished Silver アルミケース / Porcelain アクティブ バンド、Champagne Gold アルミケース / Lemongrass アクティブ バンド、Matte Black アルミケース / Obsidian アクティブ バンドの4色。45mmはSatin Moonstone アルミケース / Moonstone アクティブ バンド、Polished Silver アルミケース / Porcelain アクティブ バンド、Matte Black アルミケース / Obsidian アクティブ バンドの3色となっている。

Pixel Watch 4の45mmモデル(左)と41mmモデル(右)

バンドに関してはPixel Watch 3から変更はなく、本体サイズが同じなら流用できる。メタルバンドなど高価なものを使用していた場合でも無駄にはならないので安心してほしい。ただし、41mmモデルのバンドを45mmモデルに装着したり、その逆もできないのは従来通りだ。

▲バンドの仕様に変更はなく、Pixel Watch 3のものを流用可能だ

充電方法が大きく変更

冒頭にも触れた通り、全体的なデザインに変更がないPixel Watch 4だが、細かなところでは違いがある。もっとも大きな違いとなるのが充電方法の変更だ。

Pixel Watch 3は、Pixel Watch 2と全く同じ、背面の4つの接点で充電を行う方式だった。これに対してPixel Watch 4は、側面にある2つの端子で充電する方式に変更された。充電する際にスマートウォッチを寝かすのではなく立てることになる。

側面、スピーカーの左右に充電端子が設けられた
Pixel Watch 3(左)では背面に充電端子があったが、Pixel Watch 4(右)は端子がなくなり、ややすっきりとした

充電中に画面を見やすいというメリットがある反面、従来のスマートウォッチスタンドなどは利用できなくなるので、賛否が分かれそうではある。周辺機器をそろえていた人は、少し注意が必要だ。

Pixel Watch 4(左)は、充電中はスタンドに立てる形になる。Pixel Watch 3(右)よりも見やすい反面、汎用の充電スタンドは使えなくなる

ディスプレイが10%拡大、ドーム型に進化

もう一つの大きな変更点がディスプレイだ。本体サイズこそ変わってはいないが、ディスプレイの表示エリアが10%拡大したとのこと。45mmモデル同士で比較すると、確かにベゼルが狭くなっているのがわかる。ピーク輝度も2000ニトから3000ニトに引き上げられている。

Pixel Watch 4(左)とPixel Watch 3(右)。どちらも45mmで比較すると、確かにベゼルが細くなり、表示エリアが広がっている

また、ディスプレイがドーム型の「Actua 360 ディスプレイ」に変更された。Pixel Watch 3も周辺部は丸みを帯びていたが、中央部分はフラットだった。しかし、Pixel Watch 4は全体的に丸みを帯びている。写真で見るとあまり違いがわからないのだが、実物を見ると立体感があり確かに丸いと感じる。ちなみに、カバーガラス自体はCorning Gorilla Glass 5で変更はない。

写真では分かりづらいが、Pixel Watch 4(左)はディスプレイ全体が丸みを帯びている。Pixel Watch 3(右)は中央部分はフラットだ

Geminiの「手をあげて話す」

機能面での違いも見ていこう。Pixel Watch 4は既存のPixel Watchシリーズのすべての機能を使えるほか、幾つかの新機能を搭載する。

新機能の1つが、Geminiの「手をあげて話す」機能。Gemini自体はPixel Watch 3などでも利用できるが、サイドボタンの長押しや、「OK Google」といったホットワードが必要だった。これに対して「手をあげて話す」では、Pixel Watch 4を口元に近づけて話しかけるだけで、Geminiが応えてくれる。片手がふさがっているときでも、ふと気になったことをすぐに調べたり、メモを残したりすることが可能だ。

腕を上げると、画面下部が青く光り、Geminiが待機状態になる

心電図機能が日本でも利用可能に

もう一つの新機能が心電図(ECG)だ。正確には、心電図機能はPixel Watch 2から対応しており、一部の国や地域では利用可能だった。これまで日本では利用できなかったのだが、Pixel Watch 4から日本でも利用できるようになった。これに合わせて、Pixel Watch 2とWatch 3でもアップデートで利用可能になっている。

心電図の利用方法はシンプルで、アプリ一覧から「Fitbit ECG」を立ち上げ、リューズに指を当てて30秒間じっとしているだけだ。

結果は「洞調律」「心房細動(AFib)」「不確定」の3つで表示される。この中で、「心房細動」が表示された場合は、医療機関の受診が推奨されている。その際は、測定結果をPDFとして出力し医療機関に提示することも可能だ。

その他の機能改善:GPS精度と睡眠トラッキング

そのほか、GPSが「デュアル周波数GPS」になり、屋外でのハイキング、ランニング、ウォーキングのルートをより正確に記録できるとのこと。Pixel Watch 3でのルート記録でも特に不満はなかったが、都市部での高層ビルの合間のランニングや森の中のハイキングなど、これまで位置情報が正確に測れなかった場所でもうまくいくようになるかもしれない。

また、睡眠トラッキングが、これまでで最も正確になったとしている。これはセンサーが新しくなったわけではなく、新しい高度な機械学習モデルを使用することで、各睡眠段階に費やした時間のトラッキング精度が18%向上したとのことだ。この内容であれば、いずれ旧モデルにも展開される可能性は高そうだ。

バッテリー持ちは改善

最後にバッテリー持ちについて。Pixel Watch 4の41mmモデルは325mAh、45mmモデルは455mAhのバッテリーを搭載。バッテリー持ちは、公称では常時表示オンの状態で41mmモデルが最長30時間、45mmモデルが最長40時間となっている。

Pixel Watch 3は両サイズとも最長24時間だったので、大幅にバッテリー持ちがよくなったようだ。バッテリー容量自体が増えている(Pixel Watch 3は41mmモデルが307mAh、45mmモデルが420mAhだった)のもあるが、Pixel Watch 4に搭載されたCortex-M55コプロセッサの低消費電力性能が大きいようだ。

実際に使用したところ、45mmモデルの24時間後のバッテリー残量は37%だった。常時表示をオン、夜間はおやすみモードで、約1時間30分のGPSを使ったウォーキングを行っている。GPSを使ったウォーキングでは30分で5%、1時間30分で15%ほどバッテリーを消費していたので、GPSを使わなければ公称値通り40時間程度は持ちそうだ。なお、41mmでは、同じ使い方で24時間経過後のバッテリー残量は19%となった。こちらは毎日の充電は欠かせそうにない。

買い替えはGeminiの活用次第

しばらく使用してみた感想としては、Pixel Watch 3ユーザーであれば、買い替える必要性はそこまで感じないかもしれない。チップセットのアップデートにより性能は上がっているはずだが、スマートウォッチではそこまでの差は感じない。普段からGeminiを活用しており、「手をあげて話す」に価値を見出せるのならPixel Watch 3からの買い替えはありだと思うが、そうでないならあえて買い替える必要はないだろう。

これからスマートウォッチを購入するというのであればお勧めできるデバイスだが、より安価なPixel Watch 3でも機能差はほぼないと思っていい。Geminiを活用するか、好みのカラーがあるかなどで選択してもいいだろう。

現在、初代のPixel WatchやPixel Watch 2を使っているのであれば、そろそろ買い替え時ではある。バッテリー持ちが良くなっているほか、ケースサイズは同じでも世代を重ねるごとに表示領域が拡大、画面の明るさもアップし、屋外での視認性も上がっている。こうした点に不満を持っているなら、買い替える価値は十分にある。

量販店などでは展示している場所もあるので、気になる場合はぜひ実物を確認してほしい。

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