防災プロジェクト「Jackery PLAY PARK」始動

ポータブル電源のJackeryから“美味しい非常食”「ノトムヤムクン」。能登の食文化を活かした「KNOTOメシ」発表

編集部:平山洸太

ポータブル電源を展開するJackeryが非常食の展開を発表した

Jackery Japanは、「“たのしい”で、そなえる。」をコンセプトにした防災プロジェクト「Jackery PLAY PARK」を9月19日から開始する。その第一弾として、能登の食文化を活かして美味しい非常食を目指した「KNOTOメシ」を発表した。

Jackeryは、防災用品としても注目されている「ポータブル電源」などを手がけるブランド。本プロジェクトは、同社の被災地支援の経験を活かし、これまでの防災をアップデートする目的で実施するものだ。同社は能登半島地震以降、インフラが不足している避難所や住居等へのポータブル電源やソーラーパネルの無償提供をはじめとした、継続的な被災地支援を行ってきた。

「Jackery PLAY PARK」

能登半島地震から1年半がたち、現在でも震災の影響で人口が減少し過疎化が進行しているなか、Jackeryが「モノ支援からコト支援」で暮らしや復興を支えると説明。防災における「食」の課題に着目し、能登町の人々と協働して “美味しい非常食” を開発支援していくとする。

KNOTOメシは、能登と他の地域、今までと未来を「結ぶ(KNOT)」という意味を込めてネーミング。「開発・製造・販売を通じて能登の食材の消費、能登の人財の活躍を促し、経済活動の一助、能登の未来を共に描くこと」を目指すとしている。

能登と、結ぶを意味するKNOTをかけ合わせた

開発にあたっては、能登において古来より続く保存食としての発酵食品の文化と、レトルト調理の殺菌技術を組み合わせている。これにより常温保存でき、かつ被災時にできるだけ水を使わない、食事を美味しく楽しくするメニューを目指していくとする。

今回発表されたのが、タイ料理のトムヤムクンをオマージュしたオリジナルメニュー「ノトムヤムクン」。ナンプラーの代わりとして能登半島に古くから伝わるイカの魚醤「いしり」を使い、真空高圧調理したエビオイルと合わせている。いしりの旨味と鶏がら出汁をベースに、プチトマト、レモングラスを効かせている。また、溶けるような “バグる食感” とのこと。

「ノトムヤムクン」

ノトムヤムクンは、子供から大人まで楽しめる優しいスープとして、辛味や酸味などを最初から加えないように設計。食べる際に好みの調味料で味を整えることを前提にしており、これは「人の手を加えてアレンジすることが食を楽しむことにつながった被災時の経験」を反映したものだとしている。

「いしり」

発売は11月中旬を予定し、価格は1500円(税込)、賞味期限は6か月を想定する。パッケージデザインは、能登在住のグラフィックデザイナー、池崎万優氏が担当。開発は東京のクラフトフードブランド「ONE POT WONDER」が行なっているが、今後は能登町における製造体制構築を目指すそうだ。ONE POT WONDERの販路を活用し、セレクトショップやイベントでの販売を予定している(Jackeryによる販売は行わない予定)。

普段から使うことが、いざという時に役立つ

発表会では、Jackery Japan マーケティング本部 マーケティング第一部 コンテンツディレクター/防災士の鈴木広介氏が登壇。能登半島地震における支援では、合計260台/約2400万円相当のポータブル電源やソーラーパネルを提供してきたことを説明した。

Jackery Japan マーケティング本部 マーケティング第一部 コンテンツディレクター/防災士 鈴木広介氏

同社は1月1日に能登半島地震が発生後、1月3日にSNSやプレスリリースにて製品支援を表明、同日夜に地元ルートを通じて第一弾の製品発送を開始した。以降、行政ルート、支援団体ルート、地元ルート、ヘリルートなどを通じて支援を行った。

その活動の中で鈴木氏は、実際に現地に赴いて製品の使われ方をリサーチ。多くの製品を現地に発送していたものの、ポータブル電源はモデルや容量によって出力が異なる。たとえばドライヤー等は高出力に対応する大容量モデルではないと使えないなど、そういった特徴がどこまで伝わっているかが不安だったという。

しかし現地では、「大きいところには大きい製品がしっかりと采配されていた」と鈴木氏。もともとキャンプ等でJackery製品を使っているユーザーが被災地におり、そういったユーザーが采配に関わっていたそうだ。そこから「災害が起きたときだけではなく、普段から使って」いくことの重要性を実感したそうだ。

災害から1年半が過ぎ、現在の能登半島ではモノは足りている状況だという。一方でいまの能登にある「未来への不安」という気持ちに寄り添うため、持続可能なコト支援が必要だと説明する。また現状、ポータブル電源が防災グッズとして購入後に備蓄されてしまうことを指摘した。

これからはコト支援が重要だとする

そういったことから、「普段から楽しいことを生活に取り入れることで、防災につながる提案ができないか」と鈴木氏は考えたとのこと。そして生まれたのが「“たのしい”で、そなえる。」というコンセプトで行なうプロジェクト「Jackery PLAY PARK」だと述べた。

第一弾として「食」が選ばれた理由は、被災地の声として「ご飯を食べるのが楽しみだった」一方で、美味しい非常食が少ないという気づきがあったと説明。美味しい非常食の開発を支援することで、能登に貢献していくとした。

なお9月20日と21日には、防災×アウトドア×都市型カルチャーを盛り込んだ防災コンテンツを体験できるというイベント「Jackery PLAY PARK : EXPLORE & GATHER」を開催。東急プラザ表参道「オモカド」6階イベントスペース「LOCUL」にて実施され、アウトドア、サウナ、食と絡めた防災ブースが出展される。Jackeryブースも用意され、最新のポータブル電源やソーラーパネルが展示される予定だ。

アウトドア×防災の展示イメージ

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