今やPC移植はドル箱

PS6用ゲームの足かせになるのは携帯機ではなくPC移植、開発者が警鐘

多根清史

Image:SIE

ソニーの次世代ゲーム機「PlayStation 6(PS6)」は、据え置き型と携帯機の2モデル展開になると見られている。この構成によって、ゲーム表現がより非力な携帯機に合わせられ、据え置き型の性能を十分に活かせない懸念も指摘されている。

しかし、中堅ゲーム開発会社Massive DamageのBryan Heemskerk氏は、「PS6にとって真の足かせは携帯機よりもPC移植である」との見解を示している。

Heemskerk氏は『ストリートファイター6』のXbox Series S版とSwitch 2版を比較し、従来の基準だった「解像度重視」はもはや最重要ではないと述べている。Switch 2版は解像度こそ劣るが、携帯機として最適化されており、快適な動作やレスポンスに重点が置かれている。体験全体の質を高めることが重要であり、解像度への固執は意味を失いつつあるという。

次世代PlayStation携帯機も同様に、解像度を抑えてGPU負荷を軽減しつつ、フレームレート安定や滑らかなプレイ、画質バランスを重視する設計になる見通しである。これにより性能が足かせになることなく、PS6シリーズ全体で多様な形態のゲーム体験を提供できるという。

一方で、PC移植がPS6の性能発揮を妨げる最大の要因になる可能性が高いという。PlayStationタイトルのPC移植は大きな成功を収めており、今後の新作もすべてPC展開を前提とすると考えられる。

しかし、PC市場には数世代前のGPUやストレージを含む多様な構成が存在するため、PC移植版は最低スペックに合わせた表現品質に制約される。

たとえばリメイク版『メタルギアソリッド3』のグラフィックは、2014年発売の『メタルギアソリッドV ファントムペイン』と大きな差がなく、多くの技術的問題を抱えている。一方で、『DEATH STRANDING 2』は現行PS5専用タイトルであり、システムを最大限に活用しているとHeemskerk氏は指摘している。

次期PS6と次期XboxはいずれもAMD製APUを採用すると見られている。しかしAMDはPC市場で圧倒的シェアを持たず、先進機能の普及にも限界がある。たとえ据え置き機の性能が飛躍的に向上しても、PC移植が前提となる限り、本領を発揮しにくい状況が続くというわけだ。

さらに、次世代Xbox向け「Magnus」チップがゲーミングPCにも供給されるとのリークもある。そうしてPC側の環境がアップデートかつ統一されない限り、PS6用ゲームも移植を前提とした制約を受け、映像表現の底上げは難しそうだ。

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