パッチノートにポルトガル語音声の修正は記載があるがフランス語はなし
『トゥームレイダー』ララ・クロフトの仏語声優、許可なく自分のAI音声が使われたと制作会社を訴える

フランスの女優フランソワーズ・カドルは1996年から2008年までの間、人気ゲーム『トゥームレイダー(Tomb Raider)』シリーズで主人公ララ・クロフトの声を演じてきた。フランスにおけるカドルの声はゲームに定着しており、のちのアンジェリーナ・ジョリー主演での実写映画化でも、フランス語吹き替え版でクロフト役を演じている。
オリジナルゲームの開発元であるEmbracerとCrystal Dynamics、そしてパブリッシャーのAspyr Mediaは、オリジナル版のリマスター作品を手掛けており、すでに1~3作目をまとめたものをリリースしている。現在は4作目から6作目までをまとめた『Tomb Raider IV-VI Remastered』を開発中だ。
ところが、これらすべての作品でララ・クロフトを担当したカドルは、いくつかのリマスター作品向けに2025年8月14日にリリースされたアップデートで追加された主人公のセリフのなかに、彼女が収録した音声と異なる部分があることを、ゲームをプレイしたファンから知らされたのだという。
現在カドルは、同意なしにAIツールを使用して再現した彼女のパフォーマンスが複数のリマスター版で使用されたと主張し、Aspyr Mediaに対し、問題に対処するため、ゲームの販売中止を求める正式な通知を提出している。
カドルの弁護士で、知財とAIを専門とするジョナサン・エルカイムは、カドルの声が「ロボット」による、演技の下手なモノマネに置き換えられたことはほとんどのゲームプレイヤーにとって明らかなことだとし、「それでも声質はフランソワーズのを彷彿とさせるものだ」と説明。Aspyrがプレイヤーらを誤解させていると非難した。カドルもAspyrがプレイヤーたちを軽視していると主張している。
昨年夏、映画俳優組合・全米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)は複数のゲーム制作会社に対するストライキとともに、AIが業界内で広く使われ始めたことに対して、声優らの権利保護を強化するよう求める訴訟を起こした。両者間では引き続き条件などを検討する中で、今年6月からストライキは一時停止している。
- Source: Le Parisien
- via: Game Developer Aspyr Media Engadget