Office 365にもっとClaudeを

マイクロソフト、OpenAI依存から脱却へ?AnthropicとAI技術の使用契約締結との報道

Munenori Taniguchi

Image:JeanLucIchard/Shutterstock.com

マイクロソフトはこれまで、AI戦略に関してOpenAIと密接に連携してきた。しかし新たな報道によると、マイクロソフトはOffice 365アプリでAnthropicのAIを使用するための契約を結んだと報じられている。

そもそも、AIをサービスとして利用するのであれば、マイクロソフトはOpenAIだけに頼る必要はない。ユーザーからすれば、日常的に使うソフトの上で、好みにあったAIチャットボットを呼び出せるほうが便利に感じるはずだ。

OpenAIは現在、非営利団体傘下の営利企業というねじれた構造から、純粋な利益追求型の企業になろうとしている。マイクロソフトはそれを支援する立場にあり、これまでに137.5億ドルもの投資を行い、ChatGPTメーカーの売上高の2割を受け取る権利を保有するに至っている。そして、今後OpenAIが望み通りの立場を手に入れれば、その技術へのさらなるアクセスを確保しようとの目論見から、新たな契約交渉を行っているところだ。

そんななかでマイクロソフトがAnthropicと契約しようとする理由は、OpenAIとの交渉を優位に進めるための材料とする側面もあるかもしれない。だがそれよりも、AnthropicのClaude Sonnet 4がマイクロソフトOfficeとの連携機能においてOpenAIよりも優れている面があると考えているからであるようだ。

マイクロソフトはGitHub Copilotにおいて、OpenAIを主要なAIモデルとしつつも、xAIのGrokやAnthropicのClaudeへのアクセスも提供している。最近では、自前のAIモデルとなるMAI-Voice-1とMAI-1-previewを発表している。OpenAIもまた、マイクロソフトだけと提携しているわけもなく、マイクロソフトのLinkedInに対抗する求人プラットフォームを立ち上げたり、マイクロソフトのAzureサービスへの依存を弱めるために、Broadcomとの提携で来年にも自社製AIチップの量産を計画していると報じられている

結局のところ、マイクロソフトはOpenAIとの協力関係でややギクシャクしているところもあるものの、今すぐ破綻するようなものではない。同社はOpenAIの技術を主要なAIモデルとして利用しつつ、ユーザーにより多くの選択肢を提供するために、Anthropicとの関係を構築している模様だ。マイクロソフトの広報担当マイケル・コリンズ氏は「OpenAIは今後も最先端モデルにおける当社のパートナーであり続け、両社は長期的なパートナーシップに尽力していく」と述べている。

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