xAIもまた、何か言われているようですが

イーロン・マスク、アップルとOpenAIを提訴。App StoreでGrokアプリが目立たず不満

Munenori Taniguchi

Image:rizki alrizal/Shutterstock.com

イーロン・マスク氏は、自身のAI企業であるxAIとともに、アップルを提訴した。理由はアップルのApp Storeにおいて、Grokアプリが上位に表示されないため。

マスク氏らはこのことについて、アップルとApple Intelligenceで協力関係にあるOpenAIが、AI分野のライバル企業の活動を妨害するために「共謀」していると主張。App StoreのランキングでxAIの「X」や生成AIチャットボットアプリの「Grok」の優先順位を下げ、一方でOpenAIのAIをApple製品に統合することでOpenAIを優遇していると非難している(Xは今年3月にxAIと統合されている)。

さらに、xAIはアップルが「スマートフォンにおける独占を守ろうと必死」であり、「AI分野のライバル企業の革新と競争を阻害することで市場を独占し利益を享受しているOpenAIと手を組んだ」とした。さらに「OpenAIとの独占契約がなければ、AppleがXアプリとGrokアプリをApp Storeでもっと目立つように掲載することを控える理由はなかっただろう」と訴状に記している。

イーロン・マスク氏は、もともとOpenAIの設立において多額の資金を提供していた人物だ。しかし、その後OpenAIと仲違いをしたマスク氏は2018年に同社を離れ、2023年にOpenAIのライバルとなるxAIを立ち上げた。

それ以後、マスク氏はことあるごとにOpenAIを口撃しており、昨年に同社がその組織構造を非営利組織主体から営利企業化する動きを活発化させた際にもOpenAIと同社のサム・アルトマンCEOを提訴した。このときは「広く人類の利益のために」AIを開発するという当初の使命よりも商業的利益を優先させたとして契約違反を訴えた。

マスク氏は、今回の提訴が明らかになった後も、「Grokは平均4.9の星がついた100万件以上のレビューがあるにもかかわらず、アップルは(App Store)のどのおすすめやランキングでも、Grokを紹介するのを拒んでいる」とXに投稿している。

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OpenAIの広報担当者は声明で、「今回の申し立ては、マスク氏による継続的な嫌がらせのパターンと一致している」と述べた。アップルはコメントしていない。

ちなみに、昨年OpenAIの営利企業化を阻止するために提訴までしたxAIも、本来は公益法人として設立されたはずだった。はずだったというのは、いつのまにかxAIが組織変更を行い、公益法人から一般企業に成り変わっていたからだ。

ネバダ州の公的記録によると、2024年5月9日時点でxAIは公益法人ではなくなっている。記録を最初に確認した安全科学技術擁護団体(LASST)の幹部は、xAIは宣伝に役立ったためPBCとして登録したようだが、その後、公に知らせずにその区別を放棄したと述べた。xAIは、ネバダ州の法律により公益法人が提出すべき環境および社会への影響に関する年次報告書を提出していないという。

xAIが公益法人をやめた理由のひとつには、テネシー州メンフィスにある自社のデータセンターに許可された15基を大幅に超える35基もの天然ガスタービンを導入して電力供給を行っているのが明らかになり、問題視されていることも関係しているかもしれない。科学者らによる最近の調査では「この施設はメンフィスで最大のNOx排出産業である可能性が高い」と報告されている。

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