ただし競合チップとは大きな格差か

Google新Tensor G5チップ、“大幅アップ”のマルチコア性能がリーク

多根清史

Googleは新型フラッグシップ機「Pixel 10」シリーズとともに、自社設計プロセッサ「Tensor G5」を発表した。そのベンチマーク結果が早くもリークされ、競合製品や前世代機との差が明らかになっている。

Geekbench 6でのテストは、Android 16と16GB RAMを搭載したPixel 10 Pro XLで行われた。結果はシングルコア2296、マルチコア6203であり、前世代Tensor G4(シングルコア1889/マルチコア4247)と比べて、それぞれ約21%、約46%の性能向上となった。これはGoogle公式が発表した「平均34%アップ」を裏付ける内容である。

さらにAnTuTu総合スコアは約114万で、Pixel 9 Pro XL比で約15%向上した。ただし、Snapdragon 8 EliteやSnapdragon 8s Gen4の200万点超えには届かず、大きな性能差がある。GPUスコアも約39万点にとどまり、Snapdragon 8 Eliteの約120万点とは比較にならない水準だ。

もっとも、これらは発売前の計測結果にすぎず、特にGPUスコアの低さはソフトウェア最適化不足による可能性が高い。ただし伸びしろには限界があり、Tensor G5がハイエンド・ゲーミング向けとは言い難いようだ。

Googleの公式発表によるTensor G5の特徴は以下の通りである。

  • TSMCの3nmプロセス採用により、CPU性能は平均34%向上。TPU(AI処理チップ)は最大60%の性能向上を実現
  • ハード・ソフト両面で熱制御を改善し、高クロック動作を維持可能。実際のベンチマークでも安定した性能を示す
  • 単なる性能強化にとどまらず、AIを中心にPixel体験を根本から変革するチップと位置づけ。新機能は今後数年にわたりアップデートとして提供予定
  • Google DeepMindの最新AIモデル「Gemini」を効率的に動作させ、生成AIやパーソナルアシスタント機能が大幅に進化
  • 画像信号処理(ISP)を刷新し、動画性能やカメラ体験を強化

Googleは以前、ベンチマークアプリは「古典的」で実際のユーザー体験との関連が薄いと述べていた。しかし今回は自らベンチマークに触れており、実際には意識していたことがうかがえる。

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