ゲーミングPCとしては安い製品が実現可能に
次世代Xbox向け「Magnus」チップ、ゲーミングPC市場を一変させる可能性

次世代Xboxに搭載される見通しのAMD製プロセッサー「Magnus」について、従来のPlayStationとの競争にとどまらず、既存のゲーミングPC市場への進出を視野に入れた戦略的製品である可能性が指摘されている。
ビデオゲーム技術分析集団Digital Foundryは、このMagnusについて詳細な解説を行っている。それによれば、本チップは3つのZen 6コアと8つのZen 6Cコア(省電力コア)を搭載し、GPU部分は約68基のCU(演算ユニット)を持つ。さらに、192ビットバスのGDDR7メモリに対応しており、従来のゲーム機向けAPUよりも大規模で、3nmプロセス製造が採用される可能性もあることから、極めて高い性能が期待されている。
注目すべきは、このチップが従来のPlayStationおよびXboxに採用されてきたAPU(CPUとGPUの統合チップ)とは異なる設計思想に基づいている点である。Magnusはデュアルチップレット構造(複数の小型チップを組み合わせて1つの大きなチップとして機能させる)によりCPUとGPUの組み合わせ変更が柔軟に行える。Xbox製品であれば据え置き型、携帯型、中価格帯など、複数の製品ラインアップ展開が容易になる。
このような設計によって、従来の7年周期によるハードウェア世代交代モデルから脱却し、より短いスパンでの改良や性能向上を実現することも狙いの一つとされる。ただし、Magnusのコストは比較的高くなる見通しであり、廉価モデルには別設計のAPUが引き続き使われる可能性もある。
さらにこのMagnusチップは、ゲーミングPC市場、特に事前構築済みのOEM製品にも大きな影響を及ぼすと考えられている。AMDのAPUを搭載したXboxブランドのOEM PCや携帯型ゲーミングPCが、今後増加する可能性が高い。AMDとしては、現行の高価なゲーミングPC群に代わる安価な代替品を投入し、そこに大きな市場機会を見出しているようである。
マイクロソフトが現在進めている「すべてをXbox化する」、すなわちXbox専用タイトルをXboxゲーム機以外のプラットフォームでも遊べるようにする戦略を踏まえれば、Magnus APUの柔軟な構造はその方針とほぼ完全に合致している。今後、Rog Xbox Ally Xのようにマイクロソフトの認証を受けた「XboxブランドPC」がサードパーティから続々と登場する可能性もありそうだ。
- Source: Digital Foundry(YouTube)
- via: Wccftech