生産委託予定だったEVメーカー3社が続々と倒産
Foxconn、EV生産のために入手した旧GMの工場を謎の企業に売却

iPhoneの生産で知られる台湾の電子機器受託生産企業Foxconnは、3年前に米国で電気自動車の生産を請け負うため、GMが2019年に閉鎖した自動車生産工場を取得した。
ところが最近、台湾証券取引所に提出された書類から、iPhone生産企業は、この旧GM工場とその敷地を約8800万ドルで、またEV生産のために設立した子会社が所有する生産設備を約2億8700万ドルで売却したことが明らかになった。売却先は、デラウェア州に設立されてまだ2週間未満という謎の企業Crescent Duneになっている。
Foxconnは、売却は北米の電気自動車市場が需要を上回り低迷しているのが理由だとし、売却で得た資金は米国における事業拡大のために再投資すると述べた。また、同社は土地と設備の所有権を譲渡するが、長期占有契約に基づき現地で事業を継続するとし、引き続きこの工場で顧客向け製品の製造に携わるという。
ただ、Wall Street Journalは、Foxconnはこの工場でAI用サーバー機器の製造を行う計画とも伝えており、少なくとも工場の一部は電気自動車でなく、同社の得意分野向けに改装される模様だ。
もともと、Foxconnはこの工場を新興EVメーカーであるLordstown Motorsから2億3000万ドルで買収し、同社の電気自動車を生産する計画だった。Foxconn会長のヤング・リュー氏は当時、この工場を「北米で最も重要な電気自動車の製造・研究開発拠点」にすると宣言していた。
だがその後、Lordstownは経営難に陥り、2023年6月に破産申請。EVメーカーの経営陣は資金難に陥った原因をFoxconnのせいだとした。
一方、FoxconnはLordstownのほかにIndiEVと称する小規模なEVスタートアップや、アストンマーティンDB9のデザイナーが立ち上げたFiskerの電気自動車の生産を請け負う予定だったが、前者は2023年10月に、後者も2024年6月に倒産する事態となり、Foxconnはそれぞれの企業に対して、少数のEVを生産しただけだった。
Foxconnは現在、北米の電気自動車市場が需要を上回って低迷しており、米国におけるAIサーバーの需要が高まっていることから、旧GMの工場をAIサーバー生産に転化することで対応したと一部で報じられている。また同社は7月30日に世界中でAIデータセンター事業を展開するのを目的として、台湾のTECO Electric & Machinery社と戦略的提携を結んだことを発表している。