ベトナムに対する20%関税が直撃か

任天堂が「初代Switch」一斉値上げ、米国で。有機ELモデルはSwitch 2とほぼ同価格に

多根清史

Image:Milton Buzon/Shutterstock.com

任天堂は、米国で2017年から299.99ドルで据え置いていた初代Nintendo Switchの価格を、339.99ドルへと引き上げた。他の初代Switchモデルも同様に値上げされており、有機ELモデルは349.99ドルから399.99ドルに、Switch Liteは199.99ドルから229.99ドルへと改定されている。

この価格改定は、7月末にカナダで実施された同様の措置に続くものであり、任天堂は「市場の状況」が原因であると説明している

注目すべきは、この発表が米国のトランプ大統領による新たな「相互」関税の大統領令署名から、わずか1日後に行われた点である。とくに、任天堂が生産の多くを担っているベトナムに対しては、20%という高率の関税が課されることになった。

また、任天堂は目覚まし時計「Alarmo」や初代Switch用Joy-Conなど、一部のアクセサリー類についても約10ドルの値上げを実施している。一方で、Switch 2本体および初代Switch・Switch 2用のゲームソフトについては、価格の変更は行われていない。その結果、Switch有機ELモデルの価格は約400ドルとなり、Switch 2の約450ドルと大差がなくなっている。

なお、トランプ政権による新たな関税措置は、2025年春から予告されていた。とくに中国からの輸入品に対しては、一時的に最大145%もの関税が課される可能性が浮上していた。そのため任天堂はハードウェア製造の拠点を中国からベトナムに移す判断を下したとみられるが、それでも20%の関税を値上げなしにやり過ごすことは難しかったようだ。

今回の任天堂の値上げは、マイクロソフトが2025年春に米国でゲームハードの価格を引き上げたことに続くものでもある。同社はこれまで、日本を含む各地域で複数回の値上げを行ってきたが、長年維持してきた米国価格にもついに手を付けたかたちとなった。

一方で、任天堂は「米国やその他の主要市場で値上げを実施する一方、日本では価格を据え置く」という、異例とも言える姿勢を貫いている。今回の米国価格改定は明らかにトランプ関税によるとみられるが、今後も日本市場において初代SwitchおよびSwitch 2が値上げされずに維持されるのか、引き続き注視したいところだ。

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