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史上最高額の隕石に。地球上最大の「火星のかけら」が約8億円で落札

Munenori Taniguchi

Image:Sothebys

2023年にサハラ砂漠で発見された、地球上にある最大の火星由来の隕石がオークションにかけられ、予想をはるかに上回る価格529万6000ドル(7億8782万8040円/記事執筆時のレート)で落札された。

NWA 16788として知られているこの隕石は、大きさが約38×29×15cm、質量は約28kgもあり、火星から来たとされる他の隕石のうち最大のものより70%も大きい。赤褐色で傷だらけのその外観は、まるで火星の表面をそのまま縮小したかのようだ。

Image:Sothebys

この隕石は、火星に小惑星が衝突したときに、赤い惑星から宇宙空間に吹き飛ばされたと考えられている。そして、その勢いのまま約2億4000万kmを旅して地球に到達し、サハラ砂漠に衝突したとされている。 

調査の結果からは、この隕石の材質がカンラン石や斑れい岩質シャーゴッタイトと呼ばれる鉱物で構成されていることがわかっている。このタイプの岩石は、マグマがゆっくりと冷えることで形成される。この隕石が地球にやってきた時期は判明していないが、⁠風化した様子がほとんど見られないことから、それほど古くない年代にサハラ砂漠に落ちたと推測されている。

火星からの隕石は、地球に来た時期や、その大きさにかかわらず貴重なものだ。サザビーズの説明によれば、これほどの隕石を宇宙にまで吹き飛ばすような小惑星の衝突跡(クレーター)は、火星上に19か所しかないとのことだ。

ちなみに現在、公式に認められている地球上の隕石は7万7000個を超えるが、火星由来とされるものは約400個しかない。⁠一方で、宇宙から地球に降り注ぐ岩石はわれわれが思っているよりもはるかに多く、年間数万トンにものぼるという。ただそのほとんどは、地上に到達するまでに燃え尽きてしまう。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の地球化学者のラルフ・ハーベイ氏は科学誌Popular Scienceに対して、年に数万トンもの落下物のうち「地表に衝突する岩石は1万~2万個程度だろう」と述べ、地上表面100万キロ平方メートルあたりソフトボール1個程度の岩石が「非常にランダムに」落下しているということだ。

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