メモリやチップの大量調達でコスト削減

折りたたみiPhone、アップルの粗利率は最大64%か

多根清史

Image:satoshinpi/Shutterstock.com

折りたたみiPhoneが2026年の発売に向けて準備が進められているとの噂が相次ぐなか、そのBOM(部品表)総計および価格の予想が報じられている。

著名リークアカウント@Jukanlosreveは、「UBS証券アナリストのJ.Yoon氏」が行ったとされるシミュレーション分析をX(旧Twitter)上でシェアしている。

これによれば、折りたたみiPhoneのBOM総計は759ドルとなり、2024年に中韓限定で発売された「Galaxy Z Fold SE」よりも約4%安いという。ただし、「iPhone 16」の標準モデル(米国価格799ドル)よりは40ドルほど高くなる見通しである。

ここでいうBOMとは、製品を構成する部品や材料の調達コストをまとめたリストを指し、直接的な材料費のみが含まれる。組立てや輸送、人件費などの間接コストは含まれていない。なお、iPhone 16標準モデル(128GB)のBOMはおよそ419ドルと推定されている

これほど部品コストが高くなっている理由の一つは、ディスプレイの折り目を軽減、あるいは完全になくすための特別な設計によるものとみられる。

著名アナリストMing-Chi Kuo氏によれば、アップルはSamsung Displayの「無摺痕(折り目が目立たない)」ディスプレイ設計方式を採用しているという。このディスプレイには、Fine M-Tec製の専用金属ヒンジが組み込まれており、曲げによるストレスを分散・制御することで、折り目の発生を大幅に抑えていると説明されている

それでも、折りたたみデバイスとしてはBOMコストを比較的抑えられているのは事実である。J.Yoon氏によると、ケースやヒンジにはチタンなどの高級素材が使われている一方で、メモリやチップセット、カメラユニットにおいてはコスト削減の工夫がなされているという。アップルの広範な調達ネットワークと大量発注の強みを活かすことで、サムスンなどの競合他社よりも部品コストを下げているというわけだ。

折りたたみiPhoneの推定小売価格は2000ドルから2400ドルの間になるとされ、粗利益率は58%から64%に達すると見込まれている。これは、同じく折りたたみスマートフォンを展開するサムスンや、iPhone 16シリーズの約47%と比べても高い水準である。

なお、サムスンの最新折りたたみ機「Galaxy Z Fold7」は、米国で約2000ドルで販売されており、折りたたみiPhoneはそれを上回る価格帯となる可能性が高い。それでも、iPhoneブランドの強みをもってすれば、初動の販売は非常に好調となるかもしれない。

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