胃の出口は身体の右側

薬の効果を早く引き出す、科学的に正しい姿勢とは?

Image:marina_ua/Shutterstock.com

米ジョンズ・ホプキンス大学の研究者が、錠剤やカプセル状の飲み薬の効果を早く引き出す科学的方法を見つけた。その方法とは、薬を飲んで右向きに横たわる(右脇腹を下にして寝る)ということだけだ。

飲み薬の成分が体内に吸収されるには、腸から血液に吸収される必要がある。そこまでの間には胃があり、胃の出口部の幽門が開閉して消化した食物を十二指腸に送り出すしくみになっている。そして今回、錠剤を早く出口に導くことができる姿勢を、研究者らは調べた。

チームは直立姿勢、右側臥姿勢、左側臥姿勢、背もたれに身体を預けるような後方に状態をそらす姿勢の4つを試し、それぞれの姿勢で消化物の排出量を調べた。そして、右向きに横になった姿勢が最も消化物の排出を増加させ、左向きは逆に消化物をあまり出さなくなったとしている。

これは、胃の形状を考えれば、当然と言えば当然のこと。人の胃はL字型に曲がっており、その出口は身体の右側に向かって付いている。右側を下に横になれば、胃の出口は床面の方になり、消化された食物が出口にたまっていく。

ただ、姿勢による排出までの時間差は予想以上に大きく、「右向きで錠剤が溶けるのに10分かかるとしたら、直立姿勢では23分もかかり、左向きに寝ると100分以上もかかる可能性がある」ことがわかり驚いたと、研究者は述べている

研究著者のひとり、ジョンズ・ホプキンス大学の流体力学の専門家であるRajat Mittal氏は「たとえば高齢者で、寝たきりだったり、良くても座るだけの人たちの場合、右向きに横になっているか、左向きかで薬の効き目が大きく変わる可能性がある」と説明している。

Mittal氏はまた、「いままで自分の薬の飲み方が正しいかどうかなど考えたこともなかったが、これからは錠剤を飲むときに必ず気をつけるべきだと思った」とも述べている。そして、飲み方(姿勢)を変えることが、生体工学的に、胃の薬物吸収や食物消化、胃の機能低下にどのように影響するか、さらに詳しく調べたいとしている。

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