XREAL Oneも使えず

Nintendo Switch 2、サードパーティ製ドックを排除? 独自認証で互換性に壁

多根清史

Katerina Elagina/Shutterstock.com

任天堂が先月発売したNintendo Switch 2は、物理的にはUSB-Cポートを採用しているが、初代Switchで使用できたサードパーティ製ドックが正常に動作しないとの報告が相次いでいる。充電は可能であるものの映像出力ができない、あるいは何度もポートを抜き差ししないと認識しないといった声が寄せられている。

実際にハードウェアを検証したところ、任天堂が意図的にサードパーティ製ドックやアクセサリーとの互換性を大幅に制限していることが明らかになった。

テックメディアThe Vergeは、2つの匿名アクセサリーメーカーから「任天堂が独自の認証プロトコルと暗号化チップを導入し、意図的に互換性を制約している」との証言を得たという。同メディアは暗号化チップの物証を直接確認したわけではないが、Switch 2のUSB-C PDトラフィックをPower-Zテスターで分析した結果、「善良なUSB-C市民」として振る舞っていないことが明白になったと伝えている。

Switch 2はUSB-C経由で接続された機器と通信する際、任天堂独自の暗号化された「ベンダー定義」メッセージをやり取りしている。このプロトコルは公式ドックや一部の対応製品(Antank製など)が理解できる仕組みであり、一般的なUSB-Cドックやアダプタでは通信が成立せず、映像出力などが機能しない構造だ。

この結果として、初代Switchで問題なく使えたサードパーティ製ドックやポータブルモニター、ビデオグラスなどがSwitch 2では利用できなくなっている。たとえばXREAL Oneは当初「技術的な調整で対応可能」としていたが、現在では「XREAL Neo」という新製品(9月発売予定)が必要になると説明している

理論上は任天堂公式の認証キーを利用すれば他社製ドックも動作可能だが、そう簡単な話ではない。公式ドックはファームウェアアップデートに対応しており、任天堂が将来的に認証キーを変更することで、サードパーティ製品の利用をさらに厳しく制限する可能性もあると指摘されている。

こうした措置については、非公式ドックによる本体の故障やサポート負担の増加を防ぐ狙いがあるとの推測もある。実際、初代Switch発売直後にも一部サードパーティ製品で本体が破損したとの報告があった。さらに純正ドックには冷却ファンが内蔵されており、その機構を備えない非公式アクセサリーを制限する必要があるとの意見もある。

ただしThe VergeがSwitch 2で動作する非公式ドックを用いて1時間連続プレイしたところ、純正ドックより温度が高くなることはなかった。Switch 2本体にも冷却ファンが内蔵されている上、非公式ドックは本体を覆わないため、画面や背面へのエアフローが増え、むしろ温度を低く保てる可能性も示唆されている。

ともあれSwitch 2は「USB-C=汎用性」という期待に反し、任天堂独自の仕組みにより非公式アクセサリーとの互換性が大きく制限されているのは事実である。現時点で使えるサードパーティ製品も、将来的なファームウェア更新で利用できなくなる恐れがあり、購入は慎重に検討した方がよいだろう。

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