さて、どうなる?

アップル、SiriのAIモデル開発を外注化? OpenAIやAnthropicと協議中との報

Munenori Taniguchi

Image:PixieMe/Shutterstock.com

アップルは、同社の音声AIアシスタント「Siri」のAIモデルについて、自社開発を取りやめ、OpenAIかAnthropicのものに置き換える可能性について調査・協議だと、一部メディアが報じている。

Bloombergのマーク・ガーマン氏が匿名の情報元から得たとして伝えた情報によれば、アップルはOpenAIのChatGPTか、AnthropicのClaudeか、どちらかをSiriの開発に用いる可能性を模索しているという。そして両社に対して「テスト的に、アップルのクラウドインフラ上で動作するバージョンのAIモデルを用意するよう要請している」とのことだ。

サードパーティ製のAIモデルに関するアップルの調査は初期段階にあり、まだ完全にSiriを外注にすることを最終決定したわけではない。アップル社内では「Siri LLM」と呼ばれる、アップル独自の大規模言語モデルを開発するプロジェクトも遅れてはいるものの、まだ進められているとのことだ。

アップルは今年3月、SiriのAIモデルの改良を2026年まで延期すると発表していた。そしてこのときは、理由を明らかにしていなかった。当時、Bloombergの報道ではアップルのティム・クックCEOが、AI開発を率いていたジョン・ジャンナンドレア氏の開発遂行能力に疑問を感じたため、AI開発への取り組みを着実なものにするために、Siri担当としてそれまでVision Pro開発責任者だったマイク・ロックウェル氏を据えている。

だが、アップルのAIチームは、いまあるSiriのアーキテクチャを、OpenAIやGoogle、Anthropicの音声モードに負けないレベルまで向上させるのに苦労していると言われている。

ただ、もしアップルが本当にSiriのAIモデルを外注するとなると、それは同社にとってはAIブームへの乗り遅れが招いた大きな損失と言われることになるかもしれない。

アップルは6月に開催した世界開発者会議(WWDC25)で、電話音声のライブ翻訳などといった、ユーザー体験の向上に直接関わる部分について重点的に紹介した。だが内容自体は、目覚ましい進歩というよりは、便利な機能が追加されただけとも言える程度のものだった。

ただし、このイベントでは、アップルのソフトウェア担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏が、Apple IntelligenceのAIモデルを開発者に開放するとともに、アップルの開発者向けソフトウェアに、自社製とOpenAI性のコード補完ツールの両方を扱えるようにすると述べていた。

さらに、このイベントではアップルがAnthropicと提携して、Claude Sonnetをアップルの開発環境であるXcodeに統合する計画も発表済みだ。

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