えーと、不振を招いたのは…
テスラ、売上低迷を理由に事業幹部を解雇。かつてのマスク氏側近

テスラは、北米・欧州事業責任者を務めていたOmead Afshar氏を解雇したと、複数のニュースソースが報じている。Afshar氏は、かつてはイーロン・マスク氏の側近として、CEO室の責任者を務めていた人物だ。
イラン系アメリカ人のAfshar氏は大学で機械工学と生物医学を学び、その後はスキーインストラクターから医療機器エンジニア、ビジネスオペレーション・マネジメント、そして高電圧に関する業務などを渡り歩いた。そして2017年には、多様なスキルとリーダーシップを身につけたユニークな人材としてテスラに採用され、CEO室のマネージャーとしてマスク氏に仕えた。
マスク氏のビジョンを理解し、それを社内に伝えて陣頭指揮もとれるAfshar氏は、すぐにマスク氏の片腕として渉外役や重要なプロジェクトを任されるようになった。2022年にはSpaceXで副社長の座に就き、事業運営と戦略をマスク氏の長期ビジョンに沿わせるよう社内を調整、当時買収したTwitter(現X)で断行した大胆なリストラを、空中分解させずに実行できたのも、Afshar氏の力添えが功を奏したからとの見方もある。
そして2024年、Afshar氏はテスラの北米と欧州の事業担当副社長に昇進し、EVの販売と製造の両方を担当する重要な役割を与えられた。だがこの昇進は、Afshar氏にとっては時期が悪かったかもしれない。
その後マスク氏は、テスラの経営を放り出して大統領選挙に肩入れ。トランプ氏から政府効率化省(DOGE)を率いる役割を得て、政府機関を混乱に陥れ、さらにはドイツをはじめとした欧州諸国に対し内政干渉まがいの発言をするなど、人々のマスク氏に対する印象は悪化の一途をたどった。結果、北米と欧州のテスラディーラー前で抗議デモや、テスラ車への嫌がらせが多発。一部では不買運動が巻き起こるに至った。
テスラの売上不振はマスク氏の振るまいに加えて、過去5年間に発売した新しい車種がCybertruckだけという問題によるものと考えられる。実際、テスラは前回(2025年第1四半期)の業績不振の理由を、新型Model Yの登場が遅れたせいにした。
だが、1月に登場した新型Model Yをもってしても、現時点の予測では、その販売台数予想は前年比約9万台減になるとEV情報サイトElectrekは伝えている。テスラの納車台数は、すでに厳しい第1四半期に比べ、欧州と中国の両方で前四半期比で減少すると予想されている。
力も実績もあるAfshar氏を解雇するのは、テスラにとってはむしろ痛手ではないかとも思えるが、マスク氏は不振に対処できなかった責任がAfshar氏にあると考えたのかもしれない。ちなみに、テスラは6月22日にテキサス州オースティンでRobotaxiサービスを開始した。このサービスは周囲の予想に反して、助手席に安全監視員が搭乗する格好で始まったが、すでに何件かの問題がSNSなどに報告されて物議を醸している。