9月イベントだとiPhoneやApple Watch発表に食われる恐れ

iPad+HomePod統合デバイス「HomePad」、WWDCにてサプライズ発表か

多根清史

Image:Mino Surkala/Shutterstock.com

アップルのWWDC(世界開発者会議)基調講演が6月9日に開催される。残り数日と迫ったこのイベントで、iPadとHomePodの機能を統合した新しいホームデバイス「HomePad」がサプライズ発表される可能性が高いと、米9to5Macが指摘している。

同社は以前から、スマートスピーカーHomePodにiPadのような画面を搭載したスマートホーム製品を開発中と噂されてきた。搭載されるOSは独自の「homeOS」であるとみられ、その手がかりはtvOSのベータ版からも発見されている

今年初め、アップルの未発表製品に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、この製品が当初は2025年3月発売予定だったものの、SiriのAI機能の遅れやソフトウェア開発の問題により延期されたと述べていた。つまり、ハードウェア自体は完成済みであるが、Apple Intelligenceの開発がボトルネックとなっている状況である。

さらに、アップルのサプライチェーン事情に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏も、HomePadの量産が遅れていることを認めており、WWDC開催後に量産体制へ入るとの見通しを示している。それにWWDC以降は秋の「iPhone 17」シリーズ発表まで大規模イベントがない可能性が高いため、HomePadをWWDCで発表するのは理にかなっている。

9to5MacがWWDCでの発表を有力視する理由は、以下の2点である。HomePadは新OS「homeOS」を内包する製品であることを考えると、ソフトウェア中心のWWDCでの披露は自然な流れともいえる。

  • homeOSの開発者向け紹介 : 新しいhomeOSプラットフォームを早期に公開することで、開発者がアプリの最適化に着手しやすくなる
  • 9月イベントの過密回避 : iPhone 17シリーズ、Apple Watch Ultra 3、AirPods Pro 3など多数の新製品が控える9月イベントでは、HomePadが埋もれる懸念がある。WWDCであれば唯一のハードウェア発表として大きな注目を集められる

さらに、WWDC後にはサードパーティの小売店スタッフに対し「ハードとソフトが一体設計された時の可能性」を説明できるよう準備するよ伝えているとの報告もある。これがHomePadを指している可能性は十分にあるだろう。

最近のアップルは、従来あまり成果を上げられていないスマートホーム市場の本格開拓に注力しているとみられる。HomePadのほか、スマートホーム用のカメラを開発中との噂もあり、WWDCでの同時発表あるいはティザー的な言及も期待されるところである。

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