高性能ゲーミングノートPCの薄型軽量化が期待できそう

NVIDIAとMediaTek、RTX 4070に匹敵する「ゲーミングノート向けAPU」2025年内に投入か

多根清史

Image:Lastroll/Shutterstock.com

NVIDIAとMediaTekが、ゲーミングノートPC向けの新たなArmベースのAPU(Accelerated Processing Unit)を共同開発しており、早ければ2025年第4四半期から2026年初頭にかけて市場に投入されると報じられている。

台湾の大手メディア『経済日報』によれば、このAPUはカスタムArmアーキテクチャによるCPUと、NVIDIAの次世代Blackwellアーキテクチャを統合した設計であるという。DELL傘下のゲーミングブランド「Alienware」との協力のもと、新型ゲーミングノートPCへの搭載が予定されているとされている。

2024年秋には、NVIDIAとMediaTekがAI PC向けチップを共同開発中との噂もあったが、以降は続報がなく、計画の行方は不明となっていた。だが、今回の報道により、水面下では両社の協力が継続していた可能性が浮上したかたちだ。

最大の特徴とされるのは、消費電力65Wで、120W級のGeForce RTX 4070ノートPCと同等の性能を発揮できるという点である。これまでAPUは、主にAMD製ノートPCや軽量ハンドヘルドゲーミング機に使われてきた。電力効率や発熱の少なさを活かして薄型・軽量、かつバッテリー駆動時間に優れた製品を実現しやすかった半面、性能面では限界があった。

だが今回の新型チップが事実であれば、ゲーミングノートPCにおける従来の「CPU+GPU分離構成」に変革がもたらされる可能性がある。高性能モデルでも省電力化と軽量化、冷却設計の簡素化が進み、より幅広いカテゴリーでAPU採用が進むと期待できそうだ。

ちなみにNVIDIAはデスクトップ版とノートPC向けGPUに同じ製品名を使っているが、この記事にある「RTX 4070」は後者である。デスクトップ版とは搭載チップそのものが違い、実際の性能はデスクトップ版RTX 3060〜3060 Ti相当で「PS5より少し上」程度である。

また、DELLがNVIDIAと提携するのは、両社がすでに「Dell AI Factory with NVIDIA」という包括的AIソリューションの提供で協力関係にあるため、自然な流れともいえる。まずはDELL製品に独占的に供給することで、市場でのテストと顧客反応の把握を行い、その後に他社メーカーへの展開を図る戦略かもしれない。

現在のノートPC向けAPU市場は、AMDとインテルが支配しており、MediaTekとNVIDIAはいずれもこの分野では新規参入となる。ただし、NVIDIAはNintendo Switch 2向けにモバイルAPUを供給しており、その際に蓄積したノウハウが今回の共同開発にも活かされる可能性もある。

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