時計単体でビジュアルインテリジェンス実現のメリットは薄そう

アップル、カメラ付きApple Watchを断念? カメラ付きAirPodsは開発継続か

多根清史

Image:Rezeki2031/Shutterstock.com

アップルが開発中とされていたカメラ搭載の新型Apple Watchだが、このプロジェクトが中止されたとBloombergが報じている。

同社の内部情報に詳しいMark Gurman記者によれば、アップルは2027年の発売を目指して、Apple WatchおよびApple Watch Ultraにカメラを搭載する開発を進めていたが、その作業は今週に入って停止されたという。なお、中止の理由については明らかにされていない。

このカメラは、FaceTime通話や写真撮影といった用途ではなく、ユーザーが周囲の物体や場所について情報を得るための機能だと見られていた。以前の報道では、Apple Watchがカメラを通して「外の世界」を認識し、最近のiPhoneに導入されたAI機能「ビジュアルインテリジェンス」と連携する仕組みになるとされていた。

たとえば、カメラ搭載のApple Watchは、レストランや店舗にかざすことで営業時間を表示したり、植物の種類を識別したり、物体を説明したり、多言語のメニューや看板を翻訳するといった視覚情報に基づいたアシスト機能を提供する可能性があった。ただし、これらはすでにiPhone単体で実現可能な機能である。

一方で、AirPodsに小型カメラを内蔵する計画は現在も継続中とされる。このデバイスは2023年からコードネーム「B798」のもとで開発調査が進められており、低解像度の赤外線カメラセンサーが搭載される予定だとされている

このカメラにより、空間オーディオの強化や、ビジュアルインテリジェンス機能、さらにはApple Vision Proと連携した空中ジェスチャー操作が可能になると見られている

いずれにせよ、これらのカメラ内蔵ウェアラブルは写真撮影やFaceTime通話といった用途を想定していないようだ。カメラ付きのウェアラブル機器はプライバシーへの懸念が付きまとうため、導入には社会的な反発を招きやすい。実際、Googleがかつて発売したスマートグラスも、プライバシー問題の影響から一般向けモデルの販売をわずか2年で終了している

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