Amazonも関連付けようとして叱られたばかり

アップル、「iPhone 17」値上げを検討か。ただしトランプ関税との関連付け避ける

Image:Tomas Ragina/Shutterstock.com

アップルは、今年秋に発売予定の「iPhone 17」シリーズについて、価格の引き上げを検討していると米The Wall Street Journal(WSJ)が報じている。

今回の背景にあるのは、米国が中国やインドからの製品に対して課している追加関税である。iPhoneの主要な組立拠点である中国には引き続き20%の関税が課されており、さらにもう一つの生産拠点であるインドに対しても26%の関税が適用されている。これにより、価格への影響は避けられない状況にある。

WSJによれば、アップルは価格上昇の理由として、新機能やデザインの刷新を前面に出して消費者に説明する方針だという。米中間では一部の関税の一時停止が合意されているものの、スマートフォンにかかる主要な関税は依然として残されており、そのコストが販売価格に反映されるのは時間の問題とみられている。

事情に詳しい関係者によると、アップルは関税によるコスト上昇を、サプライヤーへの価格圧縮だけで吸収するのは困難と判断したという。それでも利益率の低下を避けるため、販売価格を引き上げる必要があると考えているようだ。

注目すべき点は、アップルが価格引き上げの理由を「トランプ関税」と結びつけたくない姿勢をとっていることだ。同社のティム・クックCEOも苦境のなかで、トランプ政権への公然たる批判を避けてきたとされている

またAmazonが、関税上乗せの価格表示を検討したと報じられた際にはホワイトハウスから「敵対的」と非難され、最終的に「その案は承認されておらず、今後も実施しない」との公式声明を出していたこともある

米中貿易摩擦の圧力が高まるなか、アップルは在庫を積み増し、米国市場向けの製造をインドにシフトしている。クックCEOは今月初め、「2024年4〜6月期には、米国に出荷されるiPhoneの過半数がインド製になる」と述べていた

ただし、ハイエンドモデルであるProおよびPro Maxの多くは依然として中国で製造されており、現時点でインドのインフラと技術力は、中国レベルの大規模生産には達していないとの指摘もある

このような状況下で、アップルが米国での値上げ幅を抑えるために、世界各国で広く薄く価格を引き上げる可能性もあるとの見方が出ている

日本ではすでに2022年以降、円安や物価上昇を背景にiPhoneの価格が引き上げられているが、米国では長らくiPhone Proの開始価格は999ドルに据え置かれてきた。今回の動きによって、日本のユーザーからは「なぜアメリカの都合に巻き込まれるのか」と不満の声が上がるかもしれない。

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