マスクは5月からDOGEへの関わりを減らすとのこと
テスラ取締役会、「マスク後任CEOを探し始める」報道を否定

テスラ取締役会長のロビン・デンホルム氏は、取締役会がイーロン・マスク氏の後任となる新CEOを探しているとするWall Street Journalの報道を否定した。WSJの報道によると、取締役会のメンバーはマスク氏と面会し、同氏がテスラでより多くの時間を過ごすつもりであることを公に認めるよう求めたという。
テスラがマスク氏に代わるCEOを探し始めたという報道は、同社および取締役会がここ最近で行った「唯一の前向きな動き」と株主らから評され、これが正確ならば、自らもテスラの株主であるにもかかわらず、長きにわたりマスク氏の好き勝手な行動を許してきた取締役会が、ついに初めて、マスク氏に立ち向かうことになると一部メディアは指摘していた。
しかし現在、取締役会は「本日未明、テスラ取締役会が後継CEOの選定を開始するために人材紹介会社に連絡を取ったという誤った報道があった。これは全くの誤りである(報道前にメディアには伝えていた)。テスラCEOはイーロン・マスクであり、取締役会は今後のエキサイティングな成長計画を実行し続ける彼の能力に大きな信頼を寄せている」と声明を出している。
また、マスク氏本人もWSJの報道を否定し「Wall Street Journal紙が意図的に虚偽の記事を掲載し、テスラ取締役会による明確な否定を事前に掲載しなかったことは、極めて悪質な倫理違反だ!」と声明で主張した(ちなみに、WSJは記事の掲載前にテスラおよびマスク氏に連絡を取ったが返答はなかったとしている)。
テスラとそのCEOはこのように述べているが、電気自動車情報メディアのElectrekは、「両者はともにこれまで幾度となく、後に真実と判明した報道を否定してきたことで知られている」と指摘し、「CEOの後継者を計画するのはまさに取締役会の仕事だ」「ようやく正しいことをしていると報じられたにもかかわらず、それを否定するのは実に滑稽だ」と自説を伝えた。
ただ、「WSJの匿名の情報源は、選ばれなかった人材紹介会社やテスラの投資家らから得たと思われる無名の情報源だった」ため、報道もすべてを鵜呑みにはすべきでないと、注意喚起もしている。そして、取締役会がそろそろ、テスラにもっと時間を費やさせるためにマスク氏を交代させるというアイデアを持ち出し始めたとしても、驚くことではないとした。
冷静に考えれば、マスク氏はとっくにCEOの座を追われていてもおかしくはない。テスラは直近5年間で新型車を1車種しか出せず、それも商業的には失敗している。また、マスク氏の舵取りの下でテスラは売上および粗利益の急激な減少を記録しており、CEO本人が無分別に政治へ介入した結果、テスラ製品に対する大規模な抗議とボイコットが起こった。消費者の反発は欧州にも飛び火し、テスラの販売台数はフランスでは前年比59%減、デンマークでは67%減となったとReutersは報じている。
テスラ取締役会会長のデンホルム氏は、マスク氏がテスラの取締役会を運営するために選んだ人物で、物議を醸しているマスク氏の560億ドルの報酬パッケージを承認したことでも知られている。この報酬パッケージは3.03億株のストックオプション(自社株購入権)で構成されており、デラウェア州裁判所によって2度にわたり無効と判断されているが、マスク氏は3月に控訴した。ちなみに560億ドルという額は、昨年1月に最初の無効の判断が下されたときの株価で評価したもので、テスラが創業から今年3月までの間に生み出してきた純利益の1.6倍にあたるとElectrekは伝えている。