燃え尽きずに落ちてくるかも
操作不能になった53年前のソ連製金星着陸機、GW明けに地球に落下へ

ソビエト連邦(現ロシア)が、金星表面の様子を探査するベネラ計画の一環としていまから53年前に打ち上げたコスモス482探査機が、近々に地球の大気圏に再突入することがわかった。同機はロケットの上段ブースターが故障したせいで制御を失った結果、目的地への軌道投入もできないままミッション失敗となっていた。
記事執筆時点で5月10日と予想される再突入では、金星大気圏への突入に耐える設計であるコスモス482探査機の着陸機が、燃え尽きずに地表に到達する可能性も考えられる。
着陸機が地球大気圏に再突入することを最初に発見した、オランダ・デルフト工科大学航空宇宙工学部の科学者であるマルコ・ラングブルック氏は、「この着陸機は金星の大気圏通過に耐えられるように設計されているため、地球の大気圏再突入後も無傷で生き残り、衝突しても無傷で残る可能性がある」と指摘、さらにこの再突入に「関連するリスクはとくに高いわけではいが、ゼロではない」とブログ記事で警告している。
コスモス482探査機は、53年前の打ち上げ失敗が明らかになった後、本体と着陸機が別々に分離し、本体部分は1981年5月5日に地球大気圏に落下した。一方、今回再突入が予測されている着陸機部分は、50年以上も楕円軌道をさまよっていたが、その軌道はしだいに地球に捉えられるルートになっていた。
ラングブルック氏によれば、コスモス482着陸機は、直径1m、重量は495kgだが、時速約242kmで地表に到達すると予想され、その衝突インパクトは相当サイズの隕石に匹敵すると述べている。そして、探査機の軌道傾斜角は51.7度であるため、再突入は北緯52度から南緯52度の間のどこにでも発生する可能性があり、日本もこの範囲に含まれている。ただ、確率的には圧倒的に面積が大きいどこかの海面になると考えられる。
ラングブルック氏はブログ記事で、4月30日時点での再突入予測を「5月10日 06:01 UTC ± 2.8日(日本時間2025年05月10日 15:01 ±2.8日)」としているが、定期的に情報をアップデートしていくと記している。
ちなみに、冒頭の画像はコスモス482探査機とほぼ同型の金星探査機、ベネラ8号の着陸機だ。ベネラ8号は1972年3月に打ち上げられ、7月22日に金星の大気圏に突入、着陸にも成功した。そして、降下中から着陸後約50分の間、金星大気圏内の環境データを地球に送信した。
- Source: Live Science SatTrackCam Leiden (b)log
- Coverage: Dr.Marco Langbroek