トランプ関税のもとでもインドの製造は不可能

アップル、iPhone 20周年記念モデルは中国製か。「非常に複雑」な設計のため

Image:fireFX/Shutterstock.com

アップルが米国向けのiPhone製造のほぼ全てを2027年までに中国からインドへ移す一方で、iPhone20周年記念モデルは中国で製造される見通しであると、著名ジャーナリストが主張している。

米ReutersBloombergは、アップルがトランプ政権下の関税や地政学的リスクを受け、中国中心の生産体制からのシフトを加速していると報じている。インドでのiPhone年間生産台数を、2025年3月までの4000万台強から約2倍の8000万台以上に増やすことを目指しているとのことだ。

そんななか、同社の内情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、iPhone20周年を記念する2つのモデルは「非常に複雑」であり、新たな部品や製造技術が必要なため、中国国外でそれらを製造できる確実性は全くないと述べている。少なくとも「2027年までには絶対に無理」とのことだ。

これまでアップルの主要な新製品はまず中国で製造され、その後インドなど他の拠点での製造が数か月遅れて始まっていた。インド製と中国製が同時に世界で発売されたのは、iPhone 15/iPhone 15 Plusが初めてであり、iPhone 15 Proモデルは中国での生産が先行していた。

たとえば2023年時点で、インド工場においてiPhoneの筐体を製造した際、歩留まりが50%程度に留まり、半分しかアップルの厳格な品質基準を満たせなかったとする報道もあり、両国の技術水準や生産効率には依然として格差があるようだ。

これら20周年記念モデルについて、以前Gurman氏は折りたたみ式iPhoneと、よりガラスを多用した大胆なProモデルだと報じていた。前者は本のようなデザインで横方向に折りたたみ、iPad miniと同程度の画面サイズ(約7.74インチ)との仕様が噂されている。その価格はiPhone 16 Pro Maxの約2倍とも予想されており、高水準の品質も求められるだろう。

もしもトランプ関税が一過性のものではなく数年続くことになれば、米国でのiPhoneの最終的な価格に転嫁されるのは避けがたい。インドへの関税は26%で、中国への145%よりは低いが、折りたたみiPhoneのような高額製品では顕著な負担になる可能性もある。

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