しばらくはMetaのリードが続く見通し
アップル、AI搭載スマートグラス開発を継続か。ただし発売は数年先?

アップルが自社製スマートグラスを開発中であるとの噂はこれまで何度も報じられてきたが、公式には一切情報が出されていない。そんななか、Bloombergの著名記者Mark Gurman氏は、アップルが「N50」というコードネームでスマートグラスの開発を続けており、AI技術を組み込む予定だと伝えている。
Gurman氏によれば、アップルはこの製品を「Apple Intelligence」デバイスの一つに位置づけることを目指しているという。具体的には、カメラを通じて周囲の環境を分析し、着用者に情報を提供するビジュアルインテリジェンスを組み込むようだが、真の拡張現実(AR)には遠く及ばないとのことだ。
かつてGurman氏は、アップルがMetaのRay-Banスマートグラスのような「ディスプレイなし」の製品を開発している一方で、「真のARメガネ」は技術的課題により棚上げされていると報じていた。
今回の新情報は、その延長線上にあるようだ。つまり「N50」はディスプレイを搭載せず、音声アシスタントSiriを通じてユーザーとやり取りする繋ぎ的な製品となる可能性が高い。もっとも、Gurman氏は「まだ準備にはほど遠い」として、発売は数年先になると示唆している。
MetaのRay-Banスマートグラスは、カメラ、マイク、AIアシスタント、スピーカーといった機能を薄型のメガネに搭載し、299ドル(約4万5,000円)〜という手頃な価格を実現している。アップルもAirPodsやApple Watchで証明した通り、小型化においては比類ない技術を持つが、それだけに「Metaグラスの競合製品をまだ投入できていないことは衝撃的だ」とGurman氏は指摘している。
さらにGurman氏は、アップルがカメラを搭載した新型AirPodsの開発も続けていることを再確認している。この新型イヤホンは、カメラを通じて周囲の場所や物体、テキストを認識し、やはりビジュアルインテリジェンス機能を活用する見込みだ。
「カメラとマイク・スピーカー内蔵、ディスプレイなし」のスマートグラスと、「カメラ内蔵のワイヤレスイヤホン」は、機能的にはほぼ同等である。それにもかかわらずアップルが両方の製品を開発しているのは、「一日中耳に何かを付けていたくない消費者」がかなりの割合で存在するためだと、Gurman氏は説明している。
今回の記事では、Metaが小型ディスプレイを搭載した「1000ドル以上の高級スマートグラス」を2025年内には発売するとの予想を繰り返している。
もっとも、同社は2021年に米国で発売したRay−Banグラスをいまだに日本で発売していない。それが日本語対応などローカライズの遅れがネックになっているとすれば(記事執筆時点では英語・フランス語・イタリア語・スペイン語のみ対応)、この新製品でも同じ問題があるため、国内での発売は望み薄かもしれない。