iPhone 16eは前年同期のSEより人気

iPhone 16 Proは人気後退か。標準モデルが大健闘

Image:Wongsakorn 2468/Shutterstock.com

市場調査会社Consumer Intelligence Research Partners(CIRP)は、2025年第1四半期における米国でのiPhone販売データを発表し、iPhone 16各モデルの売れ行きが明らかとなった。2月末に発売されたばかりのiPhone 16eも調査対象に含まれており、「どのモデルの人気が落ちているか」も浮かび上がっている。

iPhone 16シリーズは、米国で販売されたiPhone全体の74%を占め、前年同期のiPhone 15シリーズが記録した68%を上回る結果となった。新たに登場したiPhone 16eはシェア7%を獲得し、前年同期におけるiPhone SE(第3世代)よりも好調な滑り出しを見せている。これにより、16シリーズ全体のシェアを押し上げる効果ももたらした。

注目すべき点は、iPhone 16の既存4モデルの構成比が変化していることである。iPhone 16 ProとPro Maxを合わせたシェアは38%となり、前年のiPhone 15 Pro+Pro Maxの45%から減少した。一方で、iPhone 16 Plusは昨年のiPhone 15 Plusとほぼ同等のシェアを維持している。また、iPhone 16の標準モデルは前年の14%から20%へと大きく伸びている。

iPhone 16 Proモデルの内訳を見れば、大型のPro Maxは前世代と同水準のシェアを保っているが、小型のProは22%から17%へと大きく後退している。全体として見れば、多くのユーザーが「小型のProモデルよりも安価な標準モデル」を選んだことは明らかであり、iPhone 16 Proは “一人負け” の様相を呈している。

Image:CIRP

この傾向は、アップルにとってiPhone 16 Proの潜在的な購入層が安価な標準モデルへと流れたことを意味しており、一見すれば機会損失とも受け取れる。ただし、アップルはより安価なiPhone 16eを投入しており、これは計算の上でリスクを取った戦略と考えられる。すなわち、標準モデルを強化しつつ、低価格モデルとの明確な差別化を図る必要があったということだ。

iPhone 16の標準モデルとProモデルの違いは、搭載チップが「A18」と「A18 Pro」、ディスプレイサイズが0.2インチ差、リフレッシュレートが60Hzと120Hz、望遠カメラの有無、本体素材がアルミニウムとチタニウムなどにある。ただし、標準モデルの方が29g軽量であり、実際のユーザー体験やバッテリー駆動時間において大きな差はないとの指摘もある

なお、今年秋に登場予定の「iPhone 17」シリーズでは、Plusモデルに代わって超薄型のAirモデルが投入される見込みである。この新たなラインナップが、他モデルの販売動向にどのような影響を与えるか興味深いところだ。

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