新たなMatterコントローラー「M100」も投入

共通スマートホーム規格「Matter」拡大にAqaraが注力。他社デバイス接続に対応、メーカーを混ぜてコントロール

編集部:平山洸太

「M3ハブ」

Aqaraは、同社のMatterコントローラーが対応するMatterデバイスタイプを50種類以上に拡大すると発表。合わせて、Aqara独自機能も他社Matterエコシステムで使用可能になるとアナウンスした。

Matterとは、スマートホームおよびIoTデバイス向けとなる次世代の接続規格。現状ではMatter対応製品の選択肢の少なさやコストの高さといった問題があり、誰でも簡単に使えるシステムとしての実現に課題があるとのこと。こうした背景を受けて、Aqaraは日本におけるスマートホームならびにMatterの普及にフルコミットしていくとしている。

Aqaraは、スマートホームを展開するグローバルブランドで、170の国と地域に展開。ユーザー数は1200万、30以上のカテゴリーで製品を投入している。同社は早期からMatter製品に力を入れており、2022年の早期アクセスプログラムから開発を開始。2023年2月には既存のZigbeeハブをアップデートでMatter対応、2024年5月には初のMatterコントローラー「M3ハブ」を発売した。

Aqaraについて

「現在Matterを取り巻く環境にはまだまだ課題が残っている」と同社ブランドマネージャーのミア氏。これまでMatterコントローラーの選択肢が少なかったり、対応製品が高かったりするといった課題があるとのこと。また、メーカーが提供するフル機能がMatter経由では利用不可であったり、 “Matter対応=便利” にはならず、機能ダウンの側面があったという。

Aqara ブランドマネージャー ミア氏

Aqaraでは双方向統合によって、Matter対応を強化。上述のように、同社のMatterコントローラーの対応デバイスを50以上に拡大することで、Aqara製品と他社の製品を組み合わせて利用することが可能に。ライト、ロボット掃除機、カーテンコントローラー、空気清浄機などもAqara Homeアプリで制御可能になる。

Aqara Homeアプリに他社デバイスを登録できる

さらに、Aqara製品とサードパーティプラットフォーム間の相互接続性を強化。たとえば同社「カメラG3ハブ」の独自機能であるジェスチャー認識を使って、アップルのHomePodからフィリップス「Hue」のライトを点灯させたりできるようになる。

アップデートで6つの製品がMatter対応デバイスを拡大する

拡大の対象になるデバイスは、Matterコントローラー/ブリッジ「M3ハブ」「M100ハブ」「防犯カメラ G5 Pro」「ドアベルハブ G410」、およびMatterブリッジ「M2ハブ」「カメラG3ハブ」。

このうち「M100ハブ」は、Matterの普及を目指して新たに投入される、 “一番市場で安い” という新たなMatterコントローラー。他社のMatter対応デバイスを本製品を経由してAqara Homeアプリに統合できる。ブリッジ機能にも対応し、本製品を通じてApple Homeや他のアプリに統合可能。最新の接続規格であるThreadもサポートする。

「M100ハブ」

なお、コントローラーに特化しているためスマートリモコン機能は搭載しない。発売は4月24日となり、Amazonで先行販売した後、楽天、ヨドバシ、エディオン、ジョーシンでも順次展開していく。価格は未定。

Matterは800社が参画、次世代のThread普及にも期待

発表会では、X-HEMISTRY株式会社 代表取締役であり、CSA(Connectivity Standards Alliance)日本支部代表の新貝文将氏が登壇。Matterが誕生した経緯や、Matterの目的についてプレゼンが行われた。

X-HEMISTRY株式会社 代表取締役/CSA(Connectivity Standards Alliance)日本支部代表 新貝文将氏

新貝氏によると、従来グローバルでは2.4GHz帯のzigbeeとサブギガ帯のzwaveがデファクトスタンダードとして市場を2分していたが、2つの規格間に互換性がなかったとのこと。この状況を乗り越えるため、業界全体が手を握って手掛けたのがMatterだという。主要となる31社のプロモーター会員、総数800社が参画。Amazon、Google、サムスンとはじめ、イケア、LG、ファーウェイ、OPPOなどがプロモーター会員として名を連ねている。

プロモーター会員は31社

Matterではセットアップの簡単さを目指し、QRコードと11桁のコードによってセットアップが完了できるように設計。従来のメーカーごとにアプリを入れてセットアップする、といったことも解消している。また、MultiAdminという仕組みにより、メーカー間をまたいで使用することが可能。アップルでセットアップしたものをGoogleで使用したりできるという。

合わせて普及させるには “わかりやすさ” が重要とのことで、Wi-FiやBluetoothのようにMatterロゴの普及も進めていくとのこと。Matterロゴが「スマートホームにつながる」という目印になることを目指していくそうだ。

Matterロゴの普及を目指していく

Matterはアプリケーションプロトコルであり、Wi-FiやBluetoothだけでなく、Thread、802.15.4との接続もネイティブでサポート。このうちThreadは2.4GHz帯の短距離無線通信で、Bluetoothよりも低遅延であることが特長。安定性について優れているという。

Threadsはアップルが積極的に採用しており、HomePod mini、HomePod(第2世代)、Apple TV 4Kといったホーム製品に搭載。さらに、iPhone 15 Pro/Pro Max以降のiPhone、2023年9月以降に発売されたMacとiPadもサポートしているという。

Threadsについて

一方日本では、MatterのコントローラーとThread対応製品の選択肢が乏しいのが課題とのこと。日本企業の参画も進んでいるが、現時点では数が足りないそうだ。またMatter対応のエコシステムや対応機器が海外と比較して少ないが、Aqaraが本格的に参入することは良いニュースとのこと。こういった海外製品により、「日本のスマートフォン市場が進んでいくのでは」と新貝氏は話していた。

フォトセッションの様子

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