すべてのアプリが作り直しになる可能性

アマゾン、Fire TV向けOSを独自開発の「Vega OS」へ移行か

Image:mundissima/Shutterstock.com

米アマゾンは、Fire TVシリーズに搭載しているAndroidベースのFire OSの採用を廃止し、2025年後半に独自開発の「Vega OS」を搭載した新モデルをリリースする予定だと報じられている。

これは米テックメディアLowpassが、同社の計画に詳しい情報筋や複数のリーク情報に基づき伝えていることだ。なお、一部のEchoデバイス(Echo Show 5(第3世代)、Echo Hub、Echo Spot(2024年モデル))では、既にVega OSが採用されている。これらのデバイスはユーザーがアプリを自由にインストールできないため、Vega OSへの移行が比較的スムーズに行われたようだ。

Lowpassは約2年前から、アマゾンがVega OSの開発を進めており、いずれ全ての新製品をそちらに切り替える予定だと報じていた。しばらく続報は途絶えていたが、水面下では開発が続いていたようだ。

このニュースは、アマゾンがFire TVデバイス向けFire OSアップデートに関する文書を公開した直後に報じられたものだ。このドキュメントでは、今年発売されたスマートTVにAndroid 14ベースのFire TVアップデートを持ち込むと明らかにしたことで、Vega OSの開発を中止するのではないかとの憶測を呼んでいた

Vega OSはLinuxベースのOSであり、Androidアプリとの互換性がない。そのため、既存のFire TV向けアプリはすべて新たに開発し直す必要がある。今回の報道では、アマゾンは主要なコンテンツプロバイダーに対し、Vega OS向けのアプリ開発を促しており、Paramount、Rakuten、BBCのUKTVなどが既に対応を始めているとのことだ。

アマゾンがVega OSを導入する主な理由はおそらく、1つにはAndroid依存からの脱却だ。これによりGoogleの制約から解放され、自社のペースで機能追加やセキュリティ更新が可能になる。またVega OSは低消費電力デバイス向けに最適化されているため、Fire TVのような非力なデバイスでも応答性が向上し、よりスムーズなユーザー体験が期待できる。

どうやってVega OSに移行するかは不明だが、ユーザーが日常的に使っている製品のOSを入れ替えることは簡単な作業ではない。そのため、既存デバイスではAndroidベースを続ける一方で、新製品にはVega OSを搭載し、徐々に置き換えていく計画かもしれない。

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