さらにトランプの関税リスクもあり

2026年のスマホはさらに値上げ?TSMCの2nmチップ製造コストは最大3割アップか

Image:Below the Sky/Shutterstock.こm

世界最大手ファウンドリー(半導体受託製造)TSMCは今月、2nmプロセス(N2)の注を開始した。ウェハー1枚の価格は約3万ドルに達するとみられており、これは現在の3nmノードと比べて25〜30%の価格上昇を意味している。

この価格上昇が、TSMCの主要顧客であるアップルやクアルコム、MediaTekに大きな影響を与え、スマートフォンのさらなる値上げを招くかもしれないと、著名リーカーが述べている。

信頼性の高いリーカーDigital Chat Station(数码闲聊站)氏は、これら3社が2026年にTSMCの2nm製造ラインを使用することで、そうした状況が生じる可能性を指摘している。2nmチップの量産は2025年後半から始まる予定であり、実際にそのチップを搭載したデバイスが発売されるのは翌年になる見通しだ。

アップルのサプライチェーン事情に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏は、ウェハーコストの高さから、2026年の「iPhone 18」シリーズすべてに2nmチップが搭載されるわけではなく、Proモデルに限定される可能性があると示唆していた。もっとも、後ほど標準モデル向けの「A20」チップも2nmプロセスで製造されるとの見解に軌道修正している

一方、クアルコムは2つの2nmチップを開発中と報じられており、そのうちの一つはAndroidスマートフォン向けの「Snapdragon 8 Elite Gen 3」になる見通しである。ただし、同社のCEOは、TSMCへの依存リスクについて問われた際、2nmチップの製造をサムスンにも発注する「デュアルソーシング戦略」を検討中だと述べていた

通常、TSMCの最先端製造ラインはアップルが優先的に確保するため、iPhone 18の全モデルに2nmチップが採用される可能性も高そうだ。その値上げ幅がどの程度になるかは、今後TSMCのウェハー製造量が改善され、どれほどコストダウンが図られるかにかかっているのかもしれない。

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