リコールで総販売台数も透けて見える
2024年に売れたサイバートラックは4万台弱。マスク氏予想では最大25万台

テスラは、米国の路上で最も目立つクルマのひとつCybertruck(サイバートラック)を販売しているが、その2024年の販売台数はイーロン・マスクCEOが予想していた年間最大25万台には遠く及ばない、4万台弱だと推定されている。
また、テスラは米国内にCybertruckの在庫を2400台ほど置いているが、それを捌くのにも苦労している模様だ。
テスラは今週、Cybertruckのリコールを発表している。これは2023年末の販売開始以来、8回目を数える。今回のリコールは、走行中にCybertruckの車体からトリム部品が外れてしまう可能性があるという理由からだ。リコール対象台数は4万6096台と報告されており、これは実質的にこれまでに販売されたすべてのCybertruckの数と考えられる。
テスラは2019年にCybertruckを発表し、その価格を3万9900ドルからと述べた。その後、テスラは予約数が100万台を超えたと述べ、2021年8月には第三者の集計でCybertruckの予約件数が125万台を超えたと伝えられた。その数字はいまどうなっているのだろうか。
実際に、予約件数がかなりの数に上っていた可能性はある。Cybertruckの発表は世界中を駆け巡り、奇抜なデザインにもかかわらず、購入に興味をもった人も多かったはずだ。Cybertruckの予約金はわずか100ドルで、だれでも早期購入の列に並べた。ならばとりあえず予約してみようと思った人が100万人ぐらいいてもおかしくはなさそうだ。
テスラに詳しい人なら、この会社のCEOが言う将来予想やスケジュールがあてにならないことは理解しているだろう。Cybertruckの発表当時、イーロン・マスクCEOは2021年に発売すると述べた。だが実際にそれが発売されたのは2023年12月のことだった。
しかし、2023年12月の納車開始イベントで発表されたこのクルマの販売開始価格は8万ドルを超えていた。3万9900ドルという価格はとうの昔にテスラのサイトから消えており、最も安価だというRWD(後輪駆動)モデルは約6万ドルだったが、販売開始は2025年以降に遅れるとされた。この時点で、すでに2年を待った予約客は、さらに1年以上待つか、8万ドルを払うか、キャンセルするかを選択することになった。
テスラはCybertruckの好調な販売を予想して、テキサス州オースティンの工場に年間25万台のCybertruck生産体制を整えていたが、いまだ設備増強の投資を回収できず、赤字状態が続いているという。
テスラは、1~3月期の全世界における全車種の納車台数を33万6681台と報告した。これは前年同期の38万7000台を下回っている。だが、これは大幅な値引きやローン返済その他における複数の優遇措置を提供しての数字だ。
Cybertruckは8度目のリコールを発表し、その中古車価格は前年比で55%も下落した。また、テスラディーラーのなかには、自社製品であるにもかかわらず、顧客からのCybertruckの下取り依頼を拒否するところも出てきているという。そのため、Cybertruckを買った顧客の多くは、買い換えに踏み切ることが困難になっている。
なお、テスラの苦境は、昨今のマスク氏のイメージの変化と、同社に対する抗議活動も影響していると言われている。
ちなみに、電動ピックアップトラックというジャンルのなかで言えば、Cybertruckは最も売れている製品だ。非常にニッチなジャンルではあるが、今後の製品ライフサイクルにおける改良を積み重ねていけば、今後の自動車業界の情勢変化などによっては、販売を上向かせていくことも可能かもしれない。
- Source: Cox Automotive(PDF)
- via: Electrek Motortrend New Atlas