燃料投下
Twitter共同創業者ドーシー氏、「すべての知的財産法をなくせ」と突然SNSに投稿し波紋を呼ぶ

Twitterの共同創業者として知られるジャック・ドーシー氏は、先週金曜日に著作権や特許などあらゆる形態の知的財産法は廃止されるべきだと、Xへの投稿で述べた。
この投稿は週末のSNSにおいて財産、特許、著作権をめぐる議論を巻き起こし、現在のX(元Twitter)オーナーであるイーロン・マスク氏も、ドーシー氏の意見に「I agree.」と返信を投稿した。
ドーシー氏の突然の発言に、なにごとかといぶかしがる人も多くいたようだ。しかしここ最近、特に生成AI界隈では、その核となる大規模言語モデルの強化学習に使うデータセットについてまわる著作権侵害の可能性が足手まとのように認識されているようで、OpenAIのサム・アルトマンCEOらは公に、AI学習のためのデータは米国の著作権法を改正し、AI企業がより自由にデータを利用できる環境を整備すべきだと述べている。
アルトマン氏やドーシー氏の発言に賛成する人々の意見としては、現在の知的財産法は時代遅れになっているという。たとえば、デジタル時代には不釣り合いで、人工的な希少性を生み出して独占的支配を可能にしているというものや、知的財産法はイノベーションと創造性を阻害していると主張するものがみられる。
しかし、多くのテクノロジーリーダーやクリエイターは、ドーシー氏の発言に不快感を示した。動画サイトRumbleのCEOであるクリス・パブロフスキー氏は、知的財産を法的に保護する仕組みがなければ、大手IT企業は著作物を自由に利用し、その作者や権利者の許可も得ず、報酬を支払うこともなく、AIモデルをトレーニングし、利益を享受できてしまうと主張した。
また、別の企業の創業者はドーシー氏が現在率いている決済企業Blockが登録している特許の一覧をXに投稿した。さらに、New York Timesの発表するベストセラーに2度選ばれた作家のキャロル・ロス氏は「知的財産法はクリエイターの権利を保護するために基本的に不可欠だ」と述べている。
一方で、現在の知的財産制度には「企業によって悪用されている」部分もあるとして、一部ドーシー氏の意見も踏まえつつ、だからといって知的財産法を完全に廃止することが解決策にはならないかもしれない、との主張をする企業リーダーもいた。
なお、ドーシー氏はその後のXの返信で 「クリエイターに対して支払うためにははるかに優れたモデルがある」と述べつつ「現在の枠組みはクリエイターからあまりにも多くのものを奪い、利益追求に過ぎない」とコメント。さらには「現在、われわれを隔てているのは創造性だ、現在のシステムはそれを制限し、支払いを公平に支払わない門番の手に委ねている」と主張し、企業や管理団体などによる中抜きの問題を指摘した。
ちなみにイーロン・マスク氏は、特許については約10年前にそれが「弱者のためのものだ」と述べており、さらにテスラが保有する特許に関しては、「誠意を持って」使用する他社に対して権利を行使しないと述べていることなどを考えると、今回のドーシー氏の発言に対しすぐに同調したことについても、決して日和見的な行動ではなく、一貫性があるように見える。
- Source: Jacj Dorsey(X)
- via: TechCrunch