未来はもうすぐ
ヒト型ロボットが自分自身を製造? Apptronik、提携工場に「Apollo」配備へ

AI搭載ヒューマノイドロボットを開発するApptronikは、製造エンジニアリング・サプライチェーン企業のJabilと製造業務で提携する戦略的コラボレーションを発表した。
この計画には、将来的にJabilの生産施設でApptronikのヒト型ロボットApolloを生産することが含まれ、さらにそのラインでApolloが作業をすることが含まれている。つまり近い将来に、工場でApolloがApolloを組み立てる光景が見られるかもしれない。
Apolloは、2024年3月にドイツの自動車メーカー、メルセデス・ベンツの自動車製造ラインでパイロット的に採用されることが発表されていた。メルセデス・ベンツは、あくまで試験的な導入だとし、まだApolloの正式採用に繋がる判断は下していない。
今回の提携は、JabilとApptronikが製造パートナーとなり、Jabilの工場でヒューマノイドロボットの試験的な生産を行う。ここでApolloが商業的に量産していくことが可能と判断されれば、Jabilは自社工場でApolloを使ってApolloを生産することになる。

Apolloが受け持つであろう作業は、検査、仕分け、キッティング、ラインサイド配送、搬送、組み立て、固定具の配置など、一連の単純かつ反復的なものと想定されている。
製造ラインへのヒューマノイドロボットの導入は、労働生産性を向上や労働力の増強が見込める。またそれまでラインを受け持っていた人々は、もっと自身の能力を活かし、より創造的で思考力を要する仕事や、既存の業務における問題点の洗い出しや解決、改善を積み重ねていくような作業に時間を費やせるようになるだろう。
製造ラインへのヒューマノイドロボットの適用事例としては、自動車業界ではBMWもFigureのヒューマノイド「02」の試験導入を行っていた。単調な反復作業は、人にとってはつまらないうえに、身体的負担も大きいことが多い。そういった作業にロボットが導入されるのは必然とも言えるだろうし、ヒューマノイドロボットの製造ラインでヒューマノイドロボットが働くというのも、やはり必然なのかもしれない。
ちなみに、2025年2月の時点では、Apptronikは2026年を目標に本格的な商用ヒューマノイドロボットの製造を開始するとしている。
ヒューマノイドロボット開発企業をざっと挙げてみると、Agility、Boston Dynamics、Figure、Teslaなどがすぐに思い浮かぶぐらいには、すでに競争が激しくなっている。その中で、テキサス大学からのスピンオフとして誕生したApptronikは、NASAのValkyrieプロジェクトなどで得た10年以上の経験や、Google DeepMindとの提携によるヒューマノイド向けAIの開発など、他に比べて有利な要素を多く持っているようだ。
- Source: Apptronik、Jabil(Business Wire)
- via: TechCrunch