どれが出てくる?、どんなのが欲しい?

OpenAI、商標出願から見える“将来の製品”。ヒト型ロボットからスマートジュエリーまで

Image:OpenAI

OpenAIは昨年、元アップルのジョナサン・アイブ氏とともにAI搭載デバイス開発プロジェクトに取り組んでいることが確認されているが、1月末に明らかになった米国特許商標庁(USPTO)への商標登録出願から、同社が今後どのような商品を開発するつもりなのかが透けて見えている。

商標出願書類にはヘッドホンから、ゴーグル、メガネ、リモコン、ノートPC、スマートフォンケース、スマートウォッチ、スマートジュエリー、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)ヘッドセットなど、「AI支援による操作、シミュレーション、トレーニング用」ハードウェアが記載されている

念のため記しておくと、OpenAIは近い将来にこれらの製品すべてを発売しようとしているわけではない。(少なくとも米国では)商標出願の書類は意図的に広範囲の製品を含むように書かれることが多く、それが将来の製品ロードマップを示しているわけではない。とはいえ、そこに記されている製品ジャンルから、今後なにかを商品化する可能性を探っていると考えることはできるだろう。

冒頭に記したとおり、OpenAIは昨年、ジョナサン・アイブ氏とのプロジェクトに取り組んでいることを認めている。だが、CEOのサム・アルトマン氏は「複数企業との提携」を通じて消費者向けAI搭載ハードウェアを開発したいと述べており、プロトタイプのAIデバイスが登場するまでには数年かかるとしている。

今回の商標出願書類にはヒト型ロボット(ヒューマノイド)に関する記載もあり、「ユーザーがプログラム可能なヒューマノイドロボット」「人々を支援、楽しませるためのコミュニケーション機能や学習機能を備えたヒューマノイドロボット」を作る意志があることもわかる。この計画には、昨年11月にMetaのARグラス部門を離れてOpenAIに加わったケイトリン・カリノフスキー氏が率いるチームが携わることになる模様だ。

より本来のOpenAIといえる分野の商標出願項目としては「量子コンピューティング資源活用によるAIモデルのパフォーマンス最適化」のためのカスタムAIチップについても言及がある。OpenAIは昨年、量子コンピューティング分野のスタートアップ企業PsiQuantumから量子システム設計者を技術チームに迎え入れている。

OpenAIが独自のカスタムAIチップを開発しているといううわさはこれまでに何度か出てきている。これまでの報道では、早ければ2026年にもBroadcomやTSMCなどと共同でOpenAIのカスタムチップが製造されリリースされる可能性がある。

量子コンピューティングは、現在主流のコンピューターとは異なる仕組みで動作し、膨大な量の計算を同時に実行できる。OpenAIはAIモデルのトレーニング効率を大幅に向上させるために、この技術を利用するつもりなのかもしれない。

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