メキシコのユーザー向けにはメキシコ湾のまま
Googleマップ、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に変更。トランプ政権の大統領令を受けて
Googleはまもなく米国内のマップアプリ上で「メキシコ湾(Gulf of Mexico)」を「アメリカ湾(Gulf of America)」に、北米最高峰の「デナリ山」を「マッキンリー山」に改名することを発表した。米トランプ政権が先週、両者の名前を変更する大統領令に署名したのを受けてのことだ。
同社の「News From Google」アカウントはXにて、米政府が地理的名称情報システム(GNIS)を更新した後に、マップアプリがそれを反映することを明らかにした。これと併せて、政府の公式名称が変更された場合、その名称が国内ユーザー向けに表示されることは長年の慣行だと説明している。
この名称変更が反映されるのは、米国のユーザーのみである。メキシコのユーザーには引き続きメキシコ湾と表示され、両国のユーザー以外には、Googleマップ上で両方の名称が表示されることになる。
過去にもGoogleマップは、国によって名称が異なる場合、現地の正式名称を表示してきた。たとえば日本国内からは「日本海」とされる海域が、韓国ユーザーには「東海」に見えるという具合だ。こうした場合、たいてい歴史的なあつれきや領土をめぐる紛争がからむため、Googleは距離を置く方針なのだろう。
Googleマップが政治的な事情に影響を受けたことは、他にも例がある。クリミア半島の地名を巡り、ウクライナの新法に従って非ロシア的な名称に変更した直後、ロシア政府からの猛抗議を受けて従来のロシア由来の地名に再変更していた。
なお「マッキンリー山」は、1897年に当時の米大統領ウィリアム・マッキンリーにちなんで命名されたものだ。これを2015年に、バラク・オバマ前大統領が先住民の名称である「デナリ山」に変更。トランプ大統領はこの措置を「マッキンリー大統領の人生、業績、犠牲に対する侮辱」だと非難していた。
昨年の大統領選挙では、トランプ氏の得票率は49.9%、対立候補のカマラ・ハリス氏は48.3%であり、史上まれにみる大接戦だった。トランプ氏が地名の変更など大量の大統領令に署名しているのは、議会による審議を避けつつ、支持者の期待に応えて政権の正当性を強化しようとしているのかもしれない。
- Source: News From Google(X)
- via: Engadget