開発全体にAIが浸透
マイクロソフト、元Metaの幹部が率いるAI技術チーム「CoreAI」を新設

マイクロソフトは、人工知能(AI)に特化したエンジニアリンググループを新部門として設置する。CoreAI – Platform and Toolsと呼ばれるそのグループは、マイクロソフトのAIプラットフォーム部門と開発ツール部門などを統合して、マイクロソフト自身と顧客の両方のためのAIプラットフォームおよびAIツールの構築を行う。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、この新グループが「すべてのアプリケーションカテゴリーを再構築する」役割を担うとし、アプリケーションスタックのあらゆる部分がAIによる影響を受けるようになることで「30年の変化が3年に圧縮され」て訪れると主張した。
ナデラ氏はこうした変化に対応するにはAIファーストのアプリスタックが必要になると考えており「AzureがAIのインフラとなり、その上にAzure AI Foundry、GitHub、VS CodeにまたがるAIプラットフォームと開発者ツールを構築する」とした。
CoreAIは昨年10月に加わった元Metaエンジニアリング・チーフのジェイ・パリク氏が率いる。パリク氏は2009年にフェイスブックに入社し、10年余りの在籍期間中に技術インフラやデータセンター・プロジェクトの数々に携わった。Metaを離れてからはクラウドセキュリティベンチャーのLaceworkに所属していた。
マイクロソフトでは、パリク氏はナデラCEOの直属となり、マイクロソフトのシニア・リーダーシップ・チームのメンバーも兼任する。また、パリク氏の部下にはAzure AIプラットフォーム責任者のエリック・ボイド氏、元MetaでAIインフラストラクチャ担当副CTOのジェイソン・テイラー氏、開発部門責任者のジュリア・リウソン氏、開発インフラストラクチャ責任者のティム・ボザース氏など、他の多くのマイクロソフト幹部が名を連ねている。つまり、マイクロソフトは主要な開発部門全体をCoreAI – Platform and Toolsグループに引き継ぎ、その全体でAIにフォーカスする体制を構築する。
なお、CoreAIチームに関するメモではAzure AI Foundry、GitHub、VS Codeが守備範囲に収まるとされているが、そこにはVisual Studioや.NETといった、一般の開発者にとってよりなじみ深いツールは含まれていない。あくまでCoreAIチームは「ファーストパーティとサードパーティ両方の顧客がAIアプリやエージェントを構築および実行できるよう、エンドツーエンドのCopilotとAIスタックを構築すること」を目的としているとのことだ。またナデラCEOはメモのなかで今回の再編について「当社の内部組織の境界は、顧客にとっても競合他社にとっても無意味だ」と指摘し「われわれにはやるべき仕事がたくさんあり、大きなチャンスが待っている」と従業員を鼓舞している。