Metaとは異なる動き

Mastodon、新設される非営利団体に運営を移行へ。「建設的なオンラインコミュニティ構築」目指す

Image:davide bonaldo / Shutterstock.com

Twitterの代替候補として近年知名度を上げた短文SNS「Mastodon」を運営する独Mastodonのオイゲン・ロチコCEOは、サービスの所有権や運営を新しく設立する非営利団体に移管する計画を発表した。

Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは先週、同社が運営するFacebookやInstagramにおけるコンテンツモデレーションの一環であるファクトチェックを廃止し、X(旧Twitter)のコミュニティレポート方式を導入する意向を明らかにした。Meta幹部は同社のプラットフォームにおけるコンテンツモデレーションは「行き過ぎ」だったと述べ、自由な表現を頻繁に阻害していると述べた。

これは、米国の大統領選挙で保守政党である共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことで、従来リベラル寄りだった巨大IT企業らが続々と多額の献金をするなどして擦り寄る姿勢を見せている流れの最新のものだ。特に、トランプ氏はFacebookを「国民の敵」とまで呼び、保守派の意見を検閲していると非難していた。Metaやイーロン・マスク氏が買収したXなどの一連の動きは、既存の人気ソーシャルネットワークが、トップの心変わりや交替によって、進む方向を大きく覆す可能性があることを示している。

Image:Mastodon

一方、Mastodon開発チームは新しいブログ投稿で、今後、Mastodonの運営を新設される非営利団体に引き継がせる意向を明らかにしている。ロチコ氏はこの動きについて「マストドンは、いち個人によって所有または管理されるべきではないという意図を表明するものだ」と説明し、ザッカーバーグ氏とは異なる方向を向いていることを示した。

Mastodonは昨年、ドイツ税務当局から予告なく非営利の慈善団体としての立場を喪失したと伝えられた(理由は不明)。今回の動きは再びMastodonが目指す当初の意図を反映するためものとも言えそうだ。

なお、同社は1年ほど前、米国を拠点とする新しい非営利団体であるMastodon,Inc.を設立した。この企業はMastodon全体の資金調達のために機能する予定とのことだ。今後Mastodonは欧州の適切な場所で、非営利団体を設立し、Mastodonの運営や資産を引き受ける計画だ。また、サービス所有権の譲渡はユーザーにはあまり影響しないという。今後もmastodon.socialサーバーとmastodon.onlineサーバーはMastodonによって運営され、ユーザーは同プラットフォームとActivityPub対応のFediverseにアクセスできる。

「われわれの中核となる使命は変わりません。それは広告、データの搾取、操作的なアルゴリズム、企業の独占から解放された、真に建設的なオンラインコミュニティを構築するツールとデジタルスペースを創造することです」とマストドンチームは述べている。

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