iPhone毎年買い換え作戦失敗

アップル、iPhoneのサブスク化を断念との報道。規制の厳格化が打撃?

Image:Apple

アップルは、2022年にうわさにあがったiPhoneのサブスクリプション提供の計画を棚上げにしたようだ。

Bloombergが伝えたところでは、サービスの提供に関してソフトウェアの問題や規制上の懸念など、クリアすべき問題が多かったことが原因と考えられている。

ハードウェアをサブスク形式で販売するのは、新品のiPhoneを2年の割賦契約で購入した後、12回の支払いを完了すると、新しいiPhoneにアップグレードする資格が得られるというアップルのiPhone Upgrade Programなどと似た仕組みになると考えられていた。違うのは、iPhone Upgrade Programがカード会社によるローン決済となっていたところが、Apple IDに紐付いたサブスクリプションとして支払うようになる点だった。

iPhoneをサブスク化すれば、ユーザーは気軽に毎年新しいiPhoneにアップグレードするようになり、その分出荷台数も増えて収益が向上するとアップルは睨んでいたはずだ。

だが、iPhoneのサブスク化は、アップルと通信キャリアの関係を悪化させる可能性もある。キャリア各社は年々高額になるiPhoneを販売するためにさまざま割賦プランを用意しており、実質的にサブスクと変わらないようなプランもあるからだ。

また、iPhoneをサブスク販売するには、合衆国消費者金融保護局が最近厳格化した後払い型サービスにおけるクレジットカード会社同様の規制への対応が必要になる。6月に「Apple Payで後払い(Apple Pay Later)」サービスが廃止されたのは、この規制が大きな要因であり、同様の構造と技術を使用するiPhoneサブスク化は、アップルにとってはメリットより負担のほうが大きかったようだ。

アップルは、当局から直接規制されることなく、ペイサービス内で後払いオプションを引き続き提供するために、外部の決済会社と提携した。将来的には、アップルがiPhoneサブスク化を再び目指す可能性はなくはないが、いまはそれを期待するときではなさそうだ。

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