SESACはBMI、ASCAPと並ぶ米国の演奏権管理団体

米YouTubeからアデルやニルヴァーナなどの楽曲が再生不可に。演奏権管理団体との交渉まとまらず

Image:JarTee / Shutterstock.com

米国のYouTubeおよびYouTube Musicでは、先週土曜日からボブ・ディランやアデル、グリーン・デイなど数多くの著名アーティストの楽曲が再生できない問題が発生している。これは米国の演奏権管理団体SESAC(Society of European Stage Authors and Composers)とYouTubeの間における既存の契約更新の交渉がうまくいかなかったからだ。

SESACとは欧州舞台作家作曲家協会の略称で、1930年に発足している。協会のウェブサイトによると「提携する1万5000人以上の作詞家、作曲家、音楽出版社に代わり、150万曲以上の演奏ライセンスを付与している」という。

SESACは今回の件に関してコメントしていないが、YouTubeは「SESACとの既存の契約を更新すべく、誠意を持って交渉してきたが、残念ながら契約満了前に合意に至ることができなかった。われわれは著作権を非常に重視しているため、SESACが管理代表するコンテンツは米国内では利用できなくなった。われわれは現在もSESACとの交渉を継続しており、可能な限り早期の合意に至ることを望んでいる」と述べている。

なお、エンタメ情報サイトのVarietyによると、事情に詳しい関係者が、YouTubeとSESAC間の契約期限は9月30日の週までと述べたとされ、YouTubeの動きはSESACに対する交渉戦術の可能性があるとも伝えられている。

このような楽曲の使用停止は、放送局と権利者間のライセンス交渉において、両者が折り合えない場合によくあることだが、通常は解決までに数週間もかからないことが多い。ただ、YouTubeでは2008年から2009年にかけて、ワーナーミュージックグループとの間で同様の争いが起こり、9か月間もワーナーの楽曲がYouTubeから引き上げられたことがあった。最近では、ユニバーサルミュージックグループとTikTokの間でも似たようなことがあった。

ちなみに、今回のYouTubeの問題では、SESACが管理するすべての楽曲がYouTubeで再生できなくなっているわけではないようだ。楽曲によっては、音楽のみのバージョンはブロックされている一方でミュージックビデオバージョンは再生できるものもある。

また、この問題は米国内の権利に関するものであり、日本国内ではいずれの楽曲も問題なく再生、視聴可能となっている。

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