重要な個人情報は書き込まないように

Discordユーザー約6億人のメッセージを販売するスパイサービスの存在が明らかに

Image:photo_gonzo/Shutterstock.com

主にゲーマーに人気の高いコミュニケーション・プラットフォームDiscordでは、公開サーバー上で無数のやり取りが飛びかっている。Spy Petというオンラインサービスが、そうした40億以上メッセージをスクレイピング(収集)して販売している。

米ニュースメディア404 Mediaによると、Spy Petは1万4000以上にわたるサーバー、6億人以上のDiscordユーザーが発したメッセージのデータベースを販売している。それらは公式サイトのトップページに謳われており、数字はリアルタイムで更新されているようだ。

同メディアは、Spy Petがビットコインやイーサリアム、その他の暗号通貨と引き換えにデータを提供していると確認。そこではメッセージの生データやエクスポート可能な表、GitHub等の接続アカウントが明らかになるという。

Spy Petは、それ以外に8万6000以上ものサーバーをリストアップしており、それらには「ボットは存在しない」が「存在は認識している」と述べている。

その利用方法は、サイト内通貨の「クレジット」を購入し、そのクレジット分だけ検索ができるというもの。1クレジットは0.01ドル、最低単位は5ドルからであり、敷居は非常に低い。

Discordはメッセージの検索を禁じてはいないものの、一般的なブログやSNSのように検索が容易いシステムを提供してはいない。かといって、たいていのDiscord利用者は自分のメッセージや所属サーバーなどのデータが収集され、業者に販売されるとは思っていないだろう。

もっともSpy Petはプライベート・メッセージには言及しておらず、まだ安全のようだ。

Spy PetはAIモデルを訓練している人々や、「新たな情報源を探している連邦捜査官」に対して、連絡を取るよう公然と呼びかけている。そのために特別料金プランの「エンタープライズ」オプションが用意されているほどだ。

そうして公然と存在を明らかにしているためか、Spy Petのブログ記事では「DDoS攻撃を受けた」とも報告している。

米Ars TechnicaはSpy Petにコメントを求めているが、記事執筆時点では返答はない。またDiscord広報は、Spy Petが利用規約とコミュニティガイドラインに違反していないか調査していると回答。さらに「ポリシーを実施するための適切な措置」を講じると付け加えているが、それ以上のコメントは得られなかったという。

Spy Petが自ら「Discordユーザーを見つける新しいアプローチがここにある」と述べていることから、特定ユーザーの言動を追跡する一定の需要はあるようだ。ゲーム中の雑談感覚で、重要な個人情報は書き込まない方が身のためのようだ。

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