1万ドル到達は3.5%

サブスク型アプリ、月収中央値はわずか50ドル未満という調査結果

Image:Tada Images/Shutterstock.com

今や買い切りアプリを凌ぐ勢いで、定期購読料金を支払うサブスクリプション型アプリが見慣れたものとなってきた。会社勤めから独立し、定期収入によって安定した生活をめざすアプリ開発者も少なくないのだろう。

しかし現実は甘くなく、上位5%のアプリがリリース初年度以降、下位4分の1の約200倍もの収益を上げる一方で、アプリ月収の中央値は50ドル未満という、容赦ない調査結果が発表された。

このレポートを発表したRevenueCatは、アプリ開発者にサブスクリプションの収益を最大化するツールやサービスを提供する企業だ。そのプラットフォームを利用しているアプリが3万近くあることから、業界全体を俯瞰できる内容となっている。

具体的には2万9000以上のアプリと1万8000以上の開発者データを対象としたもの。合計で67億ドル以上の収益を上げ、2億9000万人以上の購読者を抱えている。

今回の報告の要旨は、上記の「収益の格差」のほかは次の通りだ。

成功する確率

17.2%のアプリのみが月収1000ドルに到達する。その後は成功の確率が高まり、1000ドルに達したアプリのうち59%が2500ドルに達し、2500ドルに達したうち60%が5000ドルに達する。しかし、1万ドルに達したアプリは全体の3.5%に留まる。

カテゴリー別の違い

健康・フィットネスアプリは他のカテゴリーよりも収益が高く、旅行や生産性アプリは最も苦戦している(上位5%でさえ1年後の収益は月1000ドル未満)。

購読価格

最も一般的な月額サブスクリプション価格は10ドルで、昨年から変化なし。平均価格は7.05ドルから8.01ドルに14%上昇。

地域別の傾向

北米を拠点とするアプリの収益が世界平均の4倍。日本と韓国はiOSよりAndroidアプリの方が収益性が高いが、世界的に見れば例外。

サブスクの継続率や市場規模

12か月後に契約を続けていた月間購読者の割合が、昨年より約14%減少している。これは消費者が支出に気をつけ、不要な購読をキャンセルしていることを示す可能性がある。ただし、他の指標(最初の30日間で有料会員になる比率やアプリ価格など)が前年比で上昇していることから、市場は縮小していない。

またRevenueCatは、今後1年間の予測も述べている。それによると、無料期間なしを採用するアプリが増えること、サブスク価格が値上がりすること、他の収益方法と組み合わせること、ユーザー体験をパーソナライズするためAIが広く活用されることなどが予測されている。

この報告はインディー開発者が大きな成功を収めるには、1回きりのアプリのリリースでは足らず、1年後も息長くアップデートを続けるなどフルタイムで専念する必要があると示しているようだ。一攫千金は狙えず、日々の地道な努力が求められるという点では、会社も個人も変わりないのかもしれない。

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