内蔵SSDチップ構成をM1時代に戻したため

アップル、「M3 MacBook Air」ベースモデル。M2世代より内蔵SSDアクセス速度が大幅アップ

Image:Max Tech:YouTube

アップルは先週、Wi-Fi 6E対応やフタを閉じたときに外付けディスプレイを2台サポートした「M3 MacBook Air」を発表した。新型チップ採用によりCPUやGPU性能が向上しているのは疑いないが、ベースモデル(SSDが最低容量)は内蔵SSDへのアクセス速度が危惧されていた。

だが、実際にはめざましく改善されていることが検証により明らかとなった。

この背景には、前M2シリーズチップ搭載MacBookのベースモデルが軒並み、内蔵SSDの読み書き速度がM1世代よりも大幅に低下していたことがある。


要は同じ容量のストレージであれ、以前は2つのNANDチップに分割していたのを1チップに置き換えたため、「同時に2チップ読み書き可能」より遅くなっていたわけだ。二車線の道路が一車線となり、渋滞を起こしていたことになる。

しかし、新型M3 MacBook Airの内蔵SSDはM2モデルよりも大幅に高速になっているという。

実際、テック系YouTuberチャンネルMax Techが分解したところ、ベースモデルのMacBook Airには1つの256GBチップではなく、128GBチップ×2が搭載されていると分かった。M1モデルからM1への移行とは、逆の仕様変更をしたことになる。

Max Techが実施したテストでは、M3 MacBook Airの書き込み速度は2108MB/秒となり、前M2 MacBook Airの1584MB/秒を上回った。かたや読み込みも、M2モデルが1576MB/秒だったのに対し、M3モデルは2880MB/秒となっている。

つまり書き込み速度は約33%、読み込みは約82%も速い。これらはM1モデルの匹敵し、時として上回るものだ。

M3 MacBook Airは、単純にCPU性能だけを見た場合はM2モデルの約20%アップに過ぎず、劇的な向上ではない。GPU性能も改善されているとはいえ、同価格帯の(消費電力などは度外視しているが)WindowsゲーミングPCと比べれば見劣りする。

だが、新型メディアエンジンにより画像処理やビデオ再生など特定の処理には強く、Wi-Fi 6Eにより通信も高速化し、外付けディスプレイ2台に対応したことでデスクトップ的な使い方もしやすくなった。決して万能を求めず、特定のユースケースに割り切るのであれば、コストパフォーマンスは高いと言えそうだ。

関連キーワード: