会社はきちんと走るトラックを作っています

電気トラックのNikola創業者に懲役4年の判決。丘を惰性で下る動画で投資家騙す

Image:Nikola

電気トラックメーカーNikolaの創業者で元CEOのトレバー・ミルトン氏に、詐欺罪で4年の懲役刑が言い渡された。ミルトン氏は2016年12月に同社の水素燃料電池で走るトレーラーヘッド「Nikola One」を発表したとき「これは完全に機能し、動作します。本当に信じられないほどです」と述べていた。

そして2018年1月には「Nikola One Electric Semi Truck in Motion」と題した動画をYouTubeやSNSに投稿し、このトラックが走行をしている様子を顧客に示した。

この動画とミルトン氏の宣伝によって、世間の人々はNikolaという水素燃料電池車メーカーを認識。その後NikolaがSPAC合併によって上場すると、多くの個人投資家が株を買い求めた。結果、ミルトン氏のもとには巨額の資金が集まることになった。

ところが2020年、カラ売り専門の投資企業ヒンデンブルグ・リサーチは、Nikolaのトラックが実際には走行するための準備が整っておらず、上述の動画のトラックにも水素燃料電池や走行するためのモーターが搭載されていなかったとする報告書を発表。動画のトラックは下り坂を惰性で走っていただけだったことも暴露された。

この報告書によってミルトン氏は、米国証券取引委員会(SEC)からは1.25億ドルの罰金を科せられた。また詐欺など複数の罪に問われ、2022年10月に証券詐欺1件と、2件の電信詐欺で有罪が確定。検察は、懲役11年と500万ドルの罰金を求めていた。

それからしばらく間があったものの、2023年12月18日、ミルトン氏には懲役4年、財産の差し押さえ、罰金100万ドル、刑期満了後3年間の保護観察という正式な判決が下された。

判決が下る前に、ミルトン氏は法廷で「誰かを傷つけるつもりはなく、私に対して提起されたそれらの犯罪を犯していません」と改めて詐欺を働く意思がなかったと主張した。しかし検察は、ミルトン氏が数十億ドル相当の事前注文を得ていると述べたり、水素燃料を市場価格の1/4のコストで生産していると主張するなど、Nikolaの事業の「ほぼすべての側面」について投資家に嘘をつき、企業株価を傍聴させたとし、ミルトン氏の主張を否定した。

Nikolaはその後CEOを何度か交代して継続しており、2022年9月30日までの9か月間で96台のトラックを製造し、79台を出荷している。現在はトラックにバッテリーの問題が見つかったことでリコールを行っており、トラックの出荷は停止している。この出荷は2024年初頭にも再開する見込みだ。なお、同社の株価は2020年以来99%下落しており、今後もしばらくは厳しい道のりが続きそうだ。

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